2021年3月10日(水)

家族友人すべて消し去った震災 胸が締め付けられた高岡電気工業・社長、減災システムを開発 #あれから私は

東日本大震災では各地の被災状況を1000枚以上の写真に収めた

 「仮設住宅の建設に向けた現地調査で訪れた山田漁港(岩手県山田町)の年配男性との会話が忘れられない」と埼玉県松伏町の高岡電気工業社長、高岡武さん(69)。カキ養殖業のその男性は震災当日、仕事仲間とたまたま県外へ旅行に出かけて無事だったが、留守中に家族や友人、自宅や職場など人生で最も大切な財産が津波で流され、「すべて消えてしまった」という。残ったのは旅行用のボストンバッグが一つだけ。カキ養殖の再開にも数年かかる見込みで年齢的にも難しい。励ます言葉が見つからず、ただ「私はカキが好物です」と伝えて別れたという。「数年後、カキ養殖が再開されたと聞き、心の底からうれしく思った」としみじみと振り返る。

購読申し込み 携帯サイト