2018年12月21日(金)

9条俳句訴訟、さいたま市の賠償確定へ 最高裁、女性と市の上告退ける 女性、支援に感謝

さいたま市役所=さいたま市浦和区常盤

 憲法9条を詠んだ俳句を公民館だよりに載せなかったのは表現の自由の侵害だとして、作者の女性(78)がさいたま市に200万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は、女性と市双方の上告を退ける決定をした。市に慰謝料5千円の賠償を命じた二審判決が確定した。20日付。

 判決によると、女性は2014年6月、さいたま市大宮区の三橋公民館で活動する句会で「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ。公民館だよりに掲載する秀句に選ばれたが、公民館は「公平性、中立性を害する」と拒否した。

■原告女性「ほっとした」「市は掲載するべき」

 9条俳句訴訟で二審判決が確定したことを受け、原告の女性(78)は21日、埼玉新聞の取材に、「正直に言って、ほっとした。最高裁で良くない判断が出たらどうしようかと思っていた。判決には不服なところもあるが、市の違法性を地裁も高裁も認めてくれたので、良かったと思う」と率直に語った。

 二審の東京高裁判決は、「女性の思想、信条を理由に他の俳句と異なる不公正な取り扱いをし、女性の人格的利益を違法に侵害した」「掲載しなかったことに正当な理由はない」などと述べていた。

 判決で掲載請求は認められていない。それでも女性は「請求権はないと言われたが、掲載しなかったことは違法と言っているから、それはきちんと正してほしい。掲載するべき」と強調。「市は違法ということを真摯(しんし)に受け止めて、今まで通り公民館だよりに句会が選んだ句をそのまま出してほしい」と求めた。

 掲載拒否から約4年半、提訴してから約3年半。女性は「本当に長かった。弁護団の先生たちは本当によくしてくれた。大学の先生には私が分からない公民館のことをたくさん教えてもらった。ここまでやってこられたのも市民応援団の人たちのおかげ。メディアも報道してくれて全国で大きな力になった」と支援してくれた人たちに感謝する。

 年齢を重ね、体調がすぐれないこともあるという。「事件が起きたときは73歳。もう78歳。裁判が終わって良かった。私にとって大変な時間だった。早く元の状態に戻してほしい」。女性はささやかな楽しみとしていた句会の日常が戻ることを切に願った。

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