2018年11月12日(月)

「水切り」の面白さ知って…国内外大会で8回優勝、朝霞の橋本さん「競技人口増やしたい」

水切りをする橋本桂佑さん。ダイナミックなフォームから水面に石を投げる。「水平に入れるイメージで」とコツを説明する=10月、寄居町
石選びから水切りは始まる。平たく滑らかな石が適している

 川に石を投げて跳ねさせる「水切り」の腕前を競う大会に出場し、日本と世界で「てっぺん」を極めた人が埼玉にいる。朝霞市の会社員橋本桂佑さん(26)は、2012年から18年にかけて国内や米国など海外の大会で計8回、優勝している。「人は水に石を投げるだけで幸せになれる」がモットーの橋本さんは「一生投げ続けたい」と奥深い魅力を語る。

■快進撃

 10月下旬の日曜日、橋本さんは練習場所である寄居町の名勝・玉淀河原を訪れた。エメラルドブルーの川には目もくれず、河原で石を集める。ボールと違って繰り返し使用できないため、投げるのに適した平らな石は自分で探す。「水切りは一期一会です」とにっこり。橋本さんが野球のアンダースローに近いフォームで投げると、石は細かくバウンドし、約50メートル先の対岸にぶつかって「カーン」と心地よい音をたてた。練習は月2、3回。この日も昼から暗くなるまで約80石を投げた。

 橋本さんは栃木県小山市生まれ。子どもの頃は地元の川でよく遊んだ。熱中し始めたのは、東北大学に入学して以降。仙台市内を流れる川で仲間と水切りをしたところ、自分が一番上手だった。「もっとうまい人に教えてもらおう」と、12年に宮城県丸森町で開かれた全日本石投げ選手権大会に出場したところ、あっさり優勝した。

 「絶対自分よりうまい人はいるはず」と国内外の主要大会に参加し、14〜18年にかけて北海道中川町の「天塩川de水切り北海道大会」、高知県いの町の「仁淀川国際水切り大会」で計5回、強者を求めて海外遠征したスコットランドなどの大会でも2回優勝。「日本の主要3大会と複数国で優勝を経験したのは世界で私だけじゃないかな」と話す。今年8月、米ペンシルベニア州の大会では、水切りのギネス記録を持つアメリカ人男性を抑え、44回で見事1位に。日本よりも熱心な人が多く、「遠い所からよく来たな」「フォーム格好いいな」と話し掛けられ、仲間ができたのがうれしかったという。2年前から会社寮のある朝霞市内に住む。

■水面に描く夢

 橋本さんの最高記録は約60回、飛距離約100メートル。小中高と野球部で鍛えた肩の強さと成功率8割という正確性が武器だ。だが橋本さんは「跳ねた回数は気にしない。私にとっての一番の魅力は、水面(みなも)にできる美しい軌道と波紋。とても面白いので多くの人に見てほしい。いいものを見たら人は幸せになる」と話す。

 石の選び方に始まり、握り、フォームなどを語り始めると止まらない。実は人類最古の遊びの一つと言われる水切り。橋本さんは「水切り文化を発展させたい」と願い、そのために指導したり、取材を受けたりと積極的に行動中。「水切りはもっと進化できる。そのためには多くの人に面白さを知ってもらい、競技人口を増やしたい。水切りの世界を熱くするため、自分のできることをやりたい」と語った。

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