2017年9月24日(日)

殺される命を産ませない…野良猫を避妊・去勢、里親募る 猫の殺処分ゼロへ、熊谷で地域猫活動

「TNR」の一環で猫の捕獲を実施するCOCOレンジャーのメンバー=8月24日、熊谷市内
9月7日に熊谷市内の河川敷で発見され、支援者らが一時的に保護している子猫(COCOレンジャー提供)

 動物の愛護と適正な飼育について関心と理解を深める「動物愛護週間」(20〜26日)。飼い主の愛情を受け生涯を全うする命がある一方で、飼い主に捨てられるなどして殺処分される犬や猫もいる。熊谷市の地域猫活動団体「COCOレンジャー」は猫の殺処分ゼロを目指し、11人のメンバーが仕事の傍ら、日々奮闘。保泉みどり代表(49)は「私たちが対処できた猫は氷山の一角。必ず不妊手術を行うなど、飼い主の意識が変わらないといけない」と呼び掛ける。

 「ニャー、ニャー」。9月7日、熊谷市内の河川敷に捨てられていた段ボール箱から猫の鳴き声が聞こえた。COCOレンジャーのメンバーが恐る恐る箱を開けると、中には生後1週間前後と思われる17匹の子猫の姿があった。うち6匹が既に死んでいた。

 同団体の主な活動は、一時的に野良猫を捕獲して避妊・去勢を施し元の場所に戻す「TNR(トラップ・ニューター・リターン)」による繁殖の抑制。不妊処置した猫は、サインとして耳先にV字のカットが入る。同日はTNRの一環で別の猫の捕獲を予定していた。通常、保護は行わないが、目の前にある命を放っておけなかった。獣医師の診察を受けるなど対処を施すも、その後さらに4匹の命が絶えた。

 生き残った7匹は現在、支援者やメンバーで手分けして一時保護する。血液検査や病気やけがの有無を確認し、人に懐いた段階で里親を募る。

 段ボール箱の中に混在する、捨てられた命と救われた命。同団体事務局の重竹淳一さん(62)は「動物愛護管理法に100万円以下の罰金と定められている通り、遺棄は明らかな犯罪行為」と指摘する。2014年10月に設立した同団体がTNRを手掛けた猫は約250匹に上る。

 猫ブームとは対照的に、「地域猫活動」の認知度はまだまだ。同団体の活動は、本年度の熊谷市の市民協働事業に位置付けられ、行政も支援。地域猫活動を行う際は対象地域の自治会長に説明し、市担当課が作成したチラシを配るなどして地域住民の理解を促している。

 地域猫の理想の姿は、近隣住民が交代で餌やトイレの世話をする環境。周囲とのトラブルを避けるためにも、餌を与えたら容器を回収するなどのルール作りも欠かせない。動物が人間関係の潤滑油となることも考えられ、「小さなコミュニティーの形成に役立つ」と重竹さんは言う。

 県生活衛生課によると、11年度で4367匹(犬1212匹、猫3155匹)だった殺処分数が、16年度では1170匹(犬290匹、猫880匹)と約27%に減少。県は飼い主への返還や譲渡などの対策を取る。だが、猫の殺処分の大部分が野良猫の子猫という現実がある。

 同団体の原動力は「将来的に殺されてしまう可能性がある命を産ませない」という思い。重竹さんは「直接飼う以外にも命を救う方法がある。少しでも地域猫について知ってほしい」と語った。

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