2017年8月28日(月)

「生活の足」路線バスの維持に県が補助 入間や小川などの4路線で延伸や増便、乗客2割増の路線も

 高齢者らの「生活の足」となる路線バスの維持を図るため、県は市町村と共同で、増便や延伸などに取り組むバス事業者に運行経費を補助するモデル事業を行っている。

 事業は昨年度から始まり、現在は入間市、小川町、川島町、久喜市・加須市の4路線で延伸や増便を実施。2割近く乗客を増やした路線もあり、県は「バスの利便性向上や利用者増を図る好循環のモデル作りを支援し、普及させたい」と話している。

 県交通政策課によると、県と市町村が取り組むのは「元気なバス需要創出モデル事業」。

 2020年度までの期限付きの事業で、赤字路線の黒字転換を目指して増便や延伸などを行うバス事業者に対し、新設バス停の整備費などを県と市町村が2分の1ずつ補助する。県は17年度当初予算に2932万円を計上している。

 昨年度は3月に川越観光自動車が小川町で、西武バスが入間市で事業を開始。小川町では、住宅団地「小川パークヒル」と東武東上線小川町駅をつなぐ路線に、「小川赤十字病院」を経由する路線を新たに加えた。通院する小川パークヒルの住民らの要望があったという。

 小川町の路線延長では、乗客数は4月が前年同期比で2276人(18%)増の1万4902人、5月が同比2020人(17%)増の1万4103人と順調に利用者が伸びている。同町の担当者は「『便利になった』という声も来ており順調な滑り出し」と話す。

 本年度は5月に東武バスが川島町で、朝日自動車が久喜市と加須市にまたがる路線で延伸した。

 鉄道駅のない川島町では、東武東上線若葉駅(坂戸市)から住宅団地「八幡団地」まで運行しているが、一部を川島町役場まで延伸した。

 延伸する路線沿線には国登録有形文化財の「遠山記念館」や日本一長いバラのトンネルで知られる「平成の森公園」がある。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の川島インターチェンジ(IC)付近には産業団地もあり、観光と通勤の両面で利便性向上が期待できる。

 さらに町民らが役場の駐車場の一角に車を置き、路線バスを使って若葉駅に出る「パークアンドライド」の取り組みも検討している。同町の担当者は「延伸は町としても悲願だった。町の東側は公共交通が手薄だったが、今回の延伸で高校生らも役場まで来ることで若葉駅に出られるようになる」と期待する。

 背景には、高齢者による運転免許返納などに伴い、生活の足の確保が喫緊の課題になっていることがある。

 同課は「路線バスが不便だと利用者が減り、バス事業者の収益も出ない負のスパイラルに落ち込む。路線から撤退することになれば、生活の足や他路線にも影響が出る。利用者増につながるモデルを市町村に広め、地域の路線バスを維持していきたい」と話している。

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