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発見された大刀。円形の模様が確認できる(坂戸市提供) |
坂戸市は25日、昭和30年代まで市内にあった入西石塚古墳(同市善能寺)から、円形の模様が刻まれた大刀(たち)が発見されたと発表した。5世紀後半の古墳時代中期のものとみられる。
模様は鏨(たがね)のような工具で刻まれたと考えられ、市によると、円形模様の大刀が確認されたのは全国で初めて。同古墳からは、県内で2例目となる、剣身が曲がった蛇行剣も見つかった。
市歴史民俗資料館によると、同古墳から発見された大刀や剣の保存処理などを行い、専門家を交えて調査を実施。その結果、全長約83センチの大刀に、円形の模様があることが分かった。
円形模様は、刀の根元の部分とみられるところの両面に2カ所ずつあり、直径1センチ程度。中央の点と、その周りの円形模様で構成されている。
同資料館は「なぜ円形模様なのかははっきり分からないが、古墳時代の埴輪(はにわ)などに使われていることが多く、当時の人たちが好んで使っていた象徴では。当時の有力者が所持していた可能性もある」と推測する。
古墳時代の刀剣類に詳しい県埋蔵文化財調査事業団の瀧瀬芳之資料活用部副部長は「円形模様の意味合いは分からないが、6世紀くらいになると、丸い象嵌(ぞうがん)模様のものが見つかっている。鏨で刻まれたものは初めてで、それの先駆けになるのでは」と話した。
同古墳跡には現在、民家が建っている。土地の所有者が1956年ごろに発見した武器や武具などを敷地内で埋納していたが、2014年度に市教委が行った調査で武器や武具が確認され、保存処理などを行っていた。
併せて確認された蛇行剣は全長約60センチ。一般的な剣身は直線的だが、屈曲していることから実戦用ではなく、何らかの儀礼や儀式に使用していたとみられている。県内では東松山市内でも見つかっている。
今回、発見された大刀や剣などは、7月21日から26日まで同市文化会館ふれあで行われる「第21回坂戸市埋蔵文化財出土品展」で展示される。問い合わせは、同資料館(電話049・284・1052)へ。