2017年3月6日(月)

地域包括ケア、4市町でモデル事業1年 成果検証しシステム構築へ

モデル事業の取り組み状況を報告する市の担当者=2月14日午後、県民健康センター(県提供)

 高齢者に住み慣れた地域で介護や医療を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」。団塊の世代が後期高齢者になる2025年を前に、システムの構築が急務とされている。

 しかし、各市町村の取り組みはこれから。そこで県は16年度、4市町を選んでモデル事業を実施している。18年度までに取り組み方法のモデルを確立し、他の市町村に順次広めていく。

 モデル事業を行っているのは、羽生、蕨、新座の3市と川島町で、公募で選ばれた。

 4市町は昨年5月から18年度までに、(1)理学療法士などの専門職を入れた地域ケア会議で、高齢者の能力を最大限生かすケアプランを作成する「自立促進」(2)高齢者が身近な場所で気軽に運動できるよう、住民が運営する体操教室を立ち上げる「介護予防」(3)調理や清掃が困難な高齢者へのサービス提供体制を整備する「生活支援」―の3事業に取り組み、効果検証を行う。

 県地域包括ケア課によると、三つの取り組みを総合的に支援する事業は、全国でも例がないという。

■専門家の意見生かす

 モデル4市町が1年間の成果を発表する報告会が、県民健康センターで2月に行われた。この取り組みを学ぼうと、県内市町村や地域包括支援センターの職員ら約240人が参加した。

 川島町が本年度に取り組んだのは「自立促進」「介護予防」の二つ。同町は高齢化率(全人口のうち65歳以上が占める割合)が30・56%(1月1日現在)で、25年には36・7%に達する見込みだ。

 同町では、理学療法士など専門職を含めた地域ケア会議を毎月開き、地域包括支援センターが作成した高齢者のケアプランの内容について協議している。

 要支援2の1人暮らしの女性(76)の場合は、腰と膝の痛みでかがめず、自宅の掃除ができない。そこで理学療法士から「必要な筋肉を付ければ腰痛などが軽減される」と、自宅でできる体操を提案され、ケアプランに反映された。女性は「自分でできそう」と体操に取り組んでいるという。

 今後は、ケアプランを作成した対象者の数カ月後の状態を見て、プランの再評価が必要になるという。

■新たな地域課題も

 モデル自治体からは、取り組みをしていく中で課題も浮かび上がっている。川島町の場合、栄養に関する訪問指導が不足していることが分かった。今後は潜在栄養士の掘り起しなどが必要になるという。

 同町健康福祉課は「不足していると分かったサービスをつくっていかないと、高齢化に追い付けない」と危機感を抱く。自立促進プランの考え方を町内に浸透させるため、今後は居宅介護支援の事業所などへ説明するとともに、医療機関にも協力を依頼していく。

 県地域包括ケア課は「どれも時間がかかる取り組み。一刻も早く他の市町村にも取り組んでもらわないといけない。4市町で上がった成果や課題を速やかに共有し、県内に広げたい」としている。

購読申し込み 携帯サイト