2016年5月29日(日)

“幻”の20円金貨など展示 造幣さいたま博物館、10月オープン

造幣東京博物館に展示してある1964年東京五輪の金、銀、銅メダル。移転後は造幣さいたま博物館で展示=東京都豊島区東池袋
“幻の金貨”と称される20円金貨(右端)

 造幣局東京支局の10月3日の移転と同時に、「造幣さいたま博物館」が埼玉県さいたま新都心の三菱マテリアル総合研究所跡地(大宮区北袋町1丁目)にオープンする。現在、東京都豊島区東池袋にある同施設は東日本唯一の造幣博物館。普段見ることのできない日本開催の五輪メダルや歴史的な貨幣がずらりと展示されており、東京の隠れた“名所”となっている。さいたま移転を契機に施設は倍増される計画で、文化施設の抱負な同市の新たなスポットになりそうだ。関係者は「身近な貨幣が埼玉の地で造られていることを知ってほしい」と話している。

 貨幣製造などを行う造幣局は現在、大阪の本局、広島、東京の支局の3本支局体制で、東京支局がさいたま市に完全移転する。東京支局は500円、100円の通常貨幣のほか記念貨幣、収集用のプルーフ貨幣、勲章や金属工芸品、受注した外国貨幣などを製造。指輪、ネックレスなど貴金属製品の品位証明も盛んで、業務はそのまま「造幣局さいたま支局」が踏襲する。

 博物館は、修学旅行の学生らを中心に年間約4万9千人が訪れる東京の隠れた“名所”だ。東京の展示内容をそのまま移転する予定だが、延べ床面積は約2倍の1786平方メートルに拡大。ロビーやビデオスペースを広めに確保し、利便性の向上を目指す。

■貨幣経済学ぶ空間

 造幣博物館は全国で2カ所。大阪とともに一翼を担う東京博物館は、池袋サンシャインシティに隣接する好立地。貨幣、勲章などの製造工程紹介や古銭、記念貨幣、勲章など資料約千点を展示し、修学旅行生や親子連れら見学者が後を絶たない。

 逸品が多数あるのが魅力だ。中でも1932(昭和7)年に発行された20円金貨は、発行枚数さえ分からないほどの希少価値から“幻の金貨”と称される。

 そのほか64年の東京五輪で造幣局が初めて製造した100円、1千円の記念銀貨、世に出ることはなかったニッケル製の10円洋銀貨や瀬戸物製の5銭陶貨など歴史的なコインが並ぶ。

 東京博物館の担当者は「小中学生がお金や経済の始まりを学ぶには最適の空間。実際、『貨幣の柄は誰が考えるの?』など、関心の高い質問も多い」と話す。

 貨幣以外にも藍綬、黄綬などの褒章や文化勲章、国民栄誉賞の盾ほか、東京と札幌、長野で開かれた五輪の金、銀、銅メダルも並ぶ。子どもたちが「重い」とうなる約20キロの慶長小判千両箱の持ち上げ体験や、持参した硬貨の状態を見て「診断書」を出してくれる機器も完備している。

■地域活性の一助に

 鉄道博物館や県立近代美術館、市大宮盆栽美術館など、文化拠点が多彩なさいたま市。同市文化財保護課は「鉄道、盆栽、岩槻の人形などとともに、また一つ文化の幅が広がる。さいたま新都心活性化の一助にもなるはず」とオープンを歓迎する。博物館などを所管する県生涯学習文化財課は「博物館同士が連携し、相互に高め合っていければ」と相乗効果を期待する。

 移転に伴う6月末の閉館が迫り、博物館関係者は、修学旅行生の継続確保と同時に、地元埼玉からの集客に関心を寄せている。担当者は「埼玉の皆さんに一度は足を運んでもらい、身近な貨幣が埼玉の地で造られていることを知ってほしい。小中学生らの見学も、教育関係機関に働き掛けていきたい」と強調。

 県内の小中学校を所管する県義務教育指導課は「要請があれば協力していきたい」と話している。

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