2016年4月14日(木)

従業員ら給料減額分の返還求める…新座の施設「保険料を二重取り」

 新座市野火止4丁目の介護老人保健施設「新座園」が、65歳以上の従業員から「厚生年金の保険料を二重取りしている」として、従業員らが給料減額分の返還を求めていることが14日、分かった。厚生年金保険料は事業主と従業員本人(被保険者)の折半納付が義務付けられている。支給欄にマイナス表記がある給与明細書に端を発し、県は3月、説明不足を新座園に口頭指導した。従業員らは「何度説明を求めても納得できない。減額は保険料個人負担分と1円単位まで同じで、事業主分も従業員が負担しているとしか考えられない」と主張している。

 新座園は、医療法人社団「慈誠会」(東京都板橋区)傘下の施設。埼玉新聞の取材に対し、新座園の給料を管理する慈誠会は「定年退職に伴う給料減額の一環」と説明している。一方で、減額分と同額を事業主分の保険料に充てていることは否定しなかった。同様の減額は、病院、老人保健施設など計14施設を運営する法人全体で行われていることも明らかにした。

 民間企業の労働者が加入する厚生年金。事業主に雇われている従業員は70歳まで保険料(掛け金)を支払うことができ、厚生年金保険法は日本年金機構(年金事務所)に納める保険料を事業主と従業員で折半することを義務付けている。納めた保険料総額に応じて、年金は支給される。新座園は従業員の毎月の給料から保険料と同額を「その他手当」として減額している。

 従業員らの通報で、県福祉監査課は3月16日、新座園を訪れて実地指導を実施。給与明細書の支給欄にマイナス表記があるなど不適切な点を指摘した上で、「労働条件について従業員に書面で通知していない」と、説明不足を新座園に口頭指導した。さらに、労働基準法に触れる可能性もあるとみて、管轄のさいたま労働基準監督署に情報を提供したとしている。

 慈誠会は過去にも複数回、厚生年金保険料について東京都内の労基署から聞き取り調査を受けたことがあった。減額について、慈誠会担当者は「退職に伴う契約延長で給料を減額する際、所得に応じて公平に算出される厚生年金保険料に先人が目を付け、同額を減額することを決めた」と、減額の根拠が厚生年金保険料にあることは認めている。同様の仕組みは少なくとも10年以上前から続き、対象は介護職員、看護師、事務長などの役職に関係なく65歳を過ぎた慈誠会の全従業員。新座園だけでも約10人が該当する。

 年金事務所などによると、保険料は事業主が半分以上負担するケースはあるが、従業員が半分より多く負担するのは違法。新座園の従業員らによると、65歳時の契約変更の際、保険料について新座園から十分な説明はなかった。日本年金機構広報室は「本人から申し出があれば調査し、異常や不備があれば事業主を指導する」としている。

購読申し込み 携帯サイト