2016年3月30日(水)

8兆円市場開放、県内11社が顧客獲得しのぎ 電力小売り自由化へ

 4月1日、電力小売り全面自由化が始まる。全国10社の大手電力が独占していた8兆円の市場が開放され、家庭は電気の購入先を自由に選べるようになる。新たに電力小売りを始める企業は、ガスや石油、通信など業種は多岐にわたる。

 経済産業省によると、必要な登録を済ませた企業は266社(25日現在)。県内では11社が新規参入、既存商品とのセット販売や独自のノウハウで、顧客獲得にしのぎを削っている。

 液化石油(LP)ガス事業や宅配水事業を手掛けるサイサン(さいたま市大宮区)は、2013年からメガソーラー事業を展開。千社以上に高圧電力を販売してきたノウハウを生かし、「エネワンでんき」として家庭用の低圧電力販売にも力を入れる。

 料金メニューは、電気・ガス・水のセットで月270円(税込み)割引する。LPガス(約80万世帯)と宅配水(約11万7千世帯)の顧客がターゲットだ。既に1万件を超す契約を獲得、8月までの目標を3万件から5万件に引き上げた。同社は「厳しい競争だが、お客さまに選んでいただけるよう最適なエネルギーを提案したい」と意気込む。

 県西部地区を中心に約20万世帯に都市ガスを供給する武州ガス(川越市)は、都市ガス供給元の東京ガスと取次店契約を結んだ。東京ガスと同価格の料金メニューで、電気とガス両方の契約者は月270円(税込み)割り引く。

 地元密着で90年間、ガス事業を行ってきた実績が強みだ。同社小売電気事業グループは「ガスと電気を組み合わせた新しいサービスを通じ、今後も支持されるよう努めたい」と力を込める。

 ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM、東京都千代田区)も新規参入。県内ではジェイコムさいたま(さいたま市浦和区、総加入世帯数28万9500件)、ジェイコム北関東(同区、同21万9200件)、ジェイコム川口戸田(川口市、同5万1300件)の3法人が登録し、電力販売は加入世帯の2割を目標に掲げる。

 電気の使用量に応じて割り引く料金プラン(300キロワット以上は10%割引)が好評という。同社広報部は「長くご利用いただけるよう、総合サービスでお客さまの暮らしを支えていきたい」と話す。

 迎え撃つ東京電力は、電気使用量が多い家庭ほど料金が得になるプランで対抗する。月平均2万円を支払っている場合は2年間で約1万4千円安くなり、電気設備に関する点検や応急処置などの出張サービスも無料に。

 同社広報は「ある程度のピンチやリスクは感じているが、全国で販売できるようになるのはチャンス。これまでのノウハウを生かし、価格だけではない部分でメリットを感じていただけるサービスを提供し、顧客の維持・拡大を図りたい」と前を向く。

 企業間競争が激化する一方、まだ様子見の家庭も多い。電力広域的運営推進機関によると、東京電力管内(埼玉など9都県)約2千万世帯のうち電力会社を切り替えたのは18日現在、約14万2100件。

 経産省電力取引監視等委員会は、各地で周知イベントや説明会を開催している。問い合わせは、同委員会(電話03・3501・5725)へ。

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