2015年11月18日(水)

パワハラ自殺、さいたま市に1300万円賠償命令/さいたま地裁

 さいたま市西部環境センター職員だった前沢史典さん=当時(41)=が2011年に自殺したのは、職場でのパワーハラスメントが原因だったとして、両親がさいたま市を相手取り、計約8095万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁の志田原信三裁判長は18日、市に計約1319万円の支払いを命じた。

 志田原裁判長は慰謝料と逸失利益として計約6千万円を認定したが、同居していた両親が自殺を防ぐ必要な措置を取るべきだったとして過失相殺を適用し、原告らに生じた損害の8割を減額した。

 訴状によると、前沢さんは02年にさいたま市に採用され、11年4月に同センターに異動した。教育係の40代の男性職員から暴力や暴言、脅迫などのパワハラを受けたとされ、同年12月に自殺した。原告側は、市が適正な指導や配置転換、前沢さんを休職させるなどの措置を講じなかったとして、自殺とパワハラの因果関係を主張していた。

 判決は、男性職員が前沢さんの脇腹を殴ったり、暴言を吐くなどの行為をパワハラと認定した上で、市に対して「(前沢さんの)相談を深刻な事態として捉えてしかるべき状況で、既往症のうつ病を悪化させることがないように配慮すべき義務があった」と指摘。さらに「(配置転換などの)措置を講じていれば、自殺を防ぐことができた蓋然(がいぜん)性が高かった」と、市の安全配慮義務違反と自殺の因果関係を認めた。

 さいたま市の清水勇人市長は「判決内容を精査して、対応を検討したい」とのコメントを出した。

■父「事実受け止めて」

前沢さんの父親岑夫さん(73)はさいたま地裁の判決後、「主張を認めてくれてうれしい。息子も喜んでいると思う」と胸をなで下ろした。

 前沢さんは2011年4月、さいたま市西部環境センターに異動。直後から、教育係の男性職員からパワハラを受け、脇腹には殴られたあざが残っていた。既往症のうつ病も悪化。前沢さんが同センターの男性所長に改善を求めても職場環境は変わらず、自殺した同年12月21日まで勤務を続けていたという。

 前沢さんの自殺から約4年。岑夫さんは「息子を犬死にさせたくないという思いでここまで来た。さいたま市には事実を受け止めてほしい」と癒えぬ悔しさを訴えた。

 職場のメンタルヘルスに関しては、改正労働安全衛生法の施行で、12月から従業員50人以上の全事業所に、労働者の心理的な負担の程度を把握する検査が義務化される。代理人の金子直樹弁護士は「メンタルケアが急務となっている中で、率先すべき市が本人の訴えを放任していた事実は糾弾されるべき。二度と同じようなことが起きぬよう、判決が契機となってほしい」と話した。

購読申し込み 携帯サイト