2015年10月28日(水)

生活保護の支給停止を取り消す 春日部市が敗訴/さいたま地裁

 生活に困窮した状態が続いた状態にもかかわらず生活保護費の支給を停止したことは違法として、春日部市の60代女性が市の処分取り消しを求めた判決公判が28日、さいたま地裁で行われた。志田原信三裁判長は、原告の主張を認め、生活保護の停止を取り消す判決を下した。

 訴状などによると、女性は就労が困難な長男と2人暮らし。2010年からさいたま市見沼区の戸建て住宅で、生活保護を受給し始めた。受給前から持病のため春日部市の病院に通院していたが、11年の交通事故の影響で自宅からの通院が困難になった。戸建て住宅を売却し、ほぼ同額のマンションを春日部市内に購入した。

 春日部市は「マンションの購入で生活が困窮した」などとしてマンションの売却を指導したが、女性が応じなかったため、保護費の支給停止を決定した。原告側は「買い換え前後を通じて保護を必要とする状態だった」として取り消しを求めていた。

 判決は、マンションの売却を指導した春日部市の判断を「(原告の)特殊事情を十分考慮したとは言えない」と指摘。

 生活保護の支給停止には「原告は指導に従う義務を負わず、停止処分は違法」と結論付けた。

 判決に先立つ口頭弁論で、女性は生活保護費を停止されていた期間を振り返り、「ジュース1本を息子と飲んで耐えていた。病院に行くお金もなかった」と切実な思いを訴えていた。

 判決を受け、弁護人の小林哲彦弁護士は「原告の困窮状態に配慮した妥当な判決。背後には、保護を停止されたまま泣き寝入りする当事者も少なくない。市に対して適正な運用を促す警鐘を鳴らした」とコメントした。

 春日部市福祉事務所の内藤信代所長は「判決文が届き次第、内容を精査し今後の対応を検討する」とした。

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