2015年8月24日(月)

ガソリンスタンド20年で半減 秩父など山間部深刻…災害時に支障も

大滝地区で唯一のガソリンスタンド=秩父市大滝

 ガソリンスタンド(給油所)が減り続けている。廃業や撤退に伴い、県内では20年前の2144カ所から2014年度は1156カ所と、半分近くに減った。背景には大型店による過当競争や電気自動車などの普及に加え、人口減少によるガソリン需要の減少、後継者不足がある。特に深刻なのは過疎化が進む山間部地域だ。生活インフラの給油所がなくなれば、自動車や農業機械などへの給油や高齢者への灯油配送、災害時におけるエネルギー供給に支障を来す恐れがある。

■今は1カ所のみ

 秩父市と05年に合併した旧大滝村地域には、かつて3カ所の給油所があったが、今は市役所大滝総合支所近くの1カ所だけ。経営する浜田敏さん(59)は「ガソリンスタンドだけでは事業は成り立たない」と話し、将来的には閉鎖も視野に入れる。かつてはダム建設による特需もあったが、現在は人口減少が進み、ガソリンの需要は減る一方だ。

 顧客の約7割は地元住民という。仮にこの給油所がなくなれば、旧荒川村方面に約10キロ離れた別の給油所まで行かなければならない。特に困るのは高齢者だ。浜田さんは冬場の灯油の配達も請け負っている。約850人が暮らす大滝地区の高齢化率は57・43%(4月1日現在)。地域の給油所がなくなれば、高齢者が灯油を調達するのが困難になる可能性もある。

■「最後のとりで」

 さらに給油所は、災害時のエネルギー供給の「最後のとりで」でもある。14年2月の大雪被害。大滝地区では1メートル以上の積雪を記録した場所もあった。除雪機の燃料を賄ったのは浜田さんの給油所だった。近所の男性は「除雪しなければ、1週間ぐらいは市街地まで行けなかっただろう。ガソリンスタンドがなくなったら困る」と話す。

 経済産業省によると、県内の過去20年の給油所数は、ピークだった1996年度の2156カ所から14年度は1156カ所まで減少。給油所が3カ所以下の県内市町村は同年度末で計7町村に上る。越生、横瀬、宮代町、東秩父村は2カ所、滑川、長瀞、美里町は3カ所のみだ。

■存続へ模索

 石油元売りの大型給油所は薄利多売により収益を挙げるため、採算の見込める都市部に集中的に出店する。県石油商業組合の石川忠事務局長は「大型店は(山間部など)売れないマーケットには出店しない。灯油を使用する家庭はまだ多い。地域にガソリンスタンドがなくなれば燃料の供給が難しくなる」と話す。

 他県では既に動き始めている自治体もある。経産省によると、群馬県みなかみ町では地元の観光業者などでつくる合同会社が、撤退した給油所の事業を継承。愛知県豊根村では、閉鎖した給油所を村が買い取り、運営を地元の第三セクターに管理委託している。

 石川事務局長は「市町村レベルで、もっとこの問題に対する認識が必要。ガソリンスタンドがなくなってからでは手遅れになる」と指摘した。

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