2015年6月26日(金)

<9条俳句訴訟>公平・中立欠いた行政 識者ら情報統制懸念

 メディア社会学が専門で、武蔵大学の永田浩三教授(60)は「さいたま市教委が作者女性や句会と誠実に向き合って解決すべきだったが、市教委がそうしなかった結果だ。提訴するのは当然のことだと思う」との見方を示した。

 表現の自由に対する公的機関の介入に問題提起をしている永田教授は、判断が司法の場に持ち込まれた意味を「事実関係が明らかになるのではないか」と期待。「この問題でどのような議論がなされたのか、市側は法廷で提示しなければならない」と言う。

 社会教育学を専門とする東京大学の佐藤一子名誉教授(70)=さいたま市緑区=は、市教委の動きを問題視した。「事態は昨年6月で止まっていたわけではない。行政はこの1年間、正当化を図ってきた」と指摘。

 「市教委は公平・中立のために掲載を拒否したと言いながら、行政自体が公平・中立を欠いていた。世論を二分するテーマだからこそ、学ばなければ解決しない。市教委が取った行動は、正反対の『愚民政策』とでも言うべきものだ」と批判する。

 問題の根深さを懸念するのは、教育研究者大田尭氏(97)=さいたま市緑区。「裁判で原告が勝訴したとしても、それで全てが解決するわけではない。お上(裁判所)に判断を委ねるということは、地域の負けを認めたのと同じだ」と、行政を動かせなかったコミュニティーの弱体化を読み取る。

 俳句の掲載拒否については、「情報統制が進んでいる。私たちは魂を奪われ、命にかかわる問題にさらされていることを忘れてはならないだろう」と警鐘を鳴らした。

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