2015年6月12日(金)

「契約打ち切り」不安抱え教壇に 非正規雇用の教員、私学で増加

正智深谷高校に勤務していた女性は「誇りを持てる現場にしてほしい」と訴えている

 全国の私立高校で非正規雇用の教員が増加している。正規雇用の教員に比べ低収入で雇用が不安定なため、現場からは待遇改善を求める声が上がっている。非正規雇用の教員が増加する背景には、生徒減に伴う財政難などがあり、私学経営の厳しさが浮き彫りになった。

 県労働委員会は私立正智深谷高校(深谷市)が4月、非常勤講師だった女性(32)の直接雇用などを求めた労働組合との団体交渉に応じないのは「不当労働行為にあたる」として、学校側に応じるよう命じた。

 県労働委などによると、女性は2010年4月から、人材派遣会社と業務請負契約を結びながら、学校側の指揮命令下で働いていたとされる。県労働委は、女性の雇用形態は人材派遣ではなく、職業安定法で禁止されている労働者供給と認定。学校側の運営に法令違反があったと踏み込んだ。

 非正規の教員は専任教員に比べて収入が少ない。女性が受け取っていた年収は約170万円。しかし同年齢の専任教員の賃金は約3倍と格差が生じている。女性は授業のない日に、飲食店などでダブルワークをしていたという。

 当時の心境を「頑張れば専任教員になれると思い、初めは希望を持っていた。ただ、生活することに必死だった」と振り返る。

 女性は12年2月、学校側から一方的に契約を打ち切られ、現在は飲食店などアルバイトを掛け持ちしている。

 正智深谷高校教職員組合の西谷泰実書記長は、女性のケースを「氷山の一角」と指摘。「非正規の教員は、いつ契約を打ち切られるか分からないという不安を抱えながら教壇に立っている。声を出せずに泣き寝入りしているケースが多い」と話した。

 全国私立学校教職員組合連合によると、13年度の全国の私学における非正規雇用は全体の約40%。県内でも非正規雇用の教員が全体の約38%を占める。経営難や急な教員の欠員などを背景に、私学では非正規雇用に頼らざるを得ない実態がある。

 しかし教員の非正規雇用の増加は教育の質を低下させるという悪循環も見込まれるため、雇用形態の改善を模索する学校もある。

 入間市の私立狭山ケ丘高校では教員の非正規雇用から専任教員への転換を図った。

 同校の小川義男校長は専任教員を増加した理由について「生徒が先生に話を聞きたいときに、すぐ帰ってしまっては信頼関係は築けない。教育の継続性を大切にするためにも、専任を増やしていくことが大切」と強調する。

 同連合の松村慎一中央執行委員は「悪質な場合には教員に安働きさせるケースもみられる。専任教員の代替として非正規が増加しており、教育の質が低下してしまう」と警鐘を鳴らしている。

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