2015年5月16日(土)

生活保護引き下げ、県に審査請求 295世帯「人間らしさを」

県への審査請求提出後、生活の実態を訴える受給者ら=15日午後、さいたま市浦和区

 4月に始まった生活保護基準の引き下げは不服として、県内の生活保護受給者が15日、295世帯分の審査請求書と要望書を県に提出した。弁護士や福祉関係者らの有志でつくる支援団体「生活保護基準引下げ反対埼玉連絡会」が呼び掛け、県内一斉の「反論」が実現。受給者らは「引き下げで生活が立ち行かない」「社会との関わりを絶たれている」などと切実な思いを訴えた。

 要望書では「国の方針に追従せず、県民の命と暮らしを守る姿勢に立ってほしい」「国に対して生活保護基準の引き下げを行わず、撤回するように県として要望してほしい」などと求めている。

 生活保護基準額をめぐっては、2013年8月を皮切りに、約3年間で平均6・5%、最大で10%の引き下げが行われた。受給者世帯の約96%で受給額が減額され、受給者は食費を切り詰めるなど厳しい生活を強いられている。

 県内では14年5月14日までに、生活保護を受給する655世帯が審査請求を行っている。昨年8月には憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害するとして、受給者25人が国と県、さいたま市ら7市を相手取り、引き下げ処分取り消しなどを求め、さいたま地裁に集団提訴。現在係争中となっている。

 川口市の男性(43)は妻と小学3年生の娘と3人暮らし。4年前にうつ病やてんかんを患い、12年から生活保護を受給している。「育ち盛りの娘の健康が心配。妻と私の食事の回数を減らしたり、捨てられた古着をあさったりしてしのいでいる。せめて、子どもには肩身の狭い思いをしてほしくない」と語った。

 生活保護費の引き下げに伴う経費削減で、市町村で行われる福祉の助成事業にしわ寄せが来ることも。障害者支援施設に入所する女性(59)は突如、福祉タクシー券が使用できなくなった。女性は脳血管障害により、車いすで生活。タクシー券は出掛ける上で欠かせないものだったという。

 審査請求に至った思いについて「人間らしい生活が送りづらくなった。通知なしにタクシー券も、生活保護費も削られる。苦しい生活をしている多くの人のために私も声を上げたかった」と話した。

 生活保護基準引き下げ違憲訴訟弁護団の古城英俊事務局長は「引き下げで受給者の生活がどう変化したかの調査もなされていない。声を上げていくことで、社会保障の引き下げを食い止めていく」と審査請求の意義を語った。

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