2015年3月3日(火)

両親殺人放火、長男に無罪判決 さいたま地裁「犯人認定に疑い残る」

 2011年3月、熊谷市の実家で両親を殺害し放火したとして、殺人と非現住建造物等放火の罪に問われた長男の無職羽鳥浩一被告(43)=群馬県太田市=の裁判員裁判の判決公判が3日、さいたま地裁で開かれた。栗原正史裁判長は無罪(求刑・無期懲役)を言い渡した。

 判決理由で栗原裁判長は「両親が心中した後に、被告以外の第三者が自宅に侵入し、放火した可能性は否定できない」と指摘。何者かが自宅に火を放った事実は認めたものの「出火当時に被告が自宅にいたとは限らず、検察官の推認は飛躍がある。火災後に被告は不可解な行動を取っているが、犯人と認定するには疑いが残る」とした。

 公判で、羽鳥被告は一貫して無罪を訴え、弁護側は両親が死亡した理由について「死因は不詳で心中した可能性がある」と主張。火災についても「失火が原因であったことは否定できず、施錠されていない窓があったことから第三者による放火も考えられる」と述べていた。

 検察側は羽鳥被告が犯行に及んだ動機を「被告には借金があり、両親が亡くなれば預貯金などを手にできる立場にあった」と指摘。「携帯電話の位置情報によると被告は出火当時、自宅周辺にとどまっていた。被告には犯行の機会があり、犯人と強く推認できる」としていた。

 羽鳥被告は11年3月10日ごろ、熊谷市善ケ島の自宅で父親の平吉さん=当時(68)=と母親の輝子さん=同(69)=の首を圧迫するなどして殺害し、翌11日に自宅に放火して木造2階建て住宅を全焼させたとして起訴された。事件後、羽鳥被告は静岡県内で車を運転中、斜面に転落し、同17日に保護されていた。

 弁護人の栗木祥子弁護士は「主張が認められてよかった」と話した。地検の片山巌次席検事は「判決内容を精査した上で上級庁と協議し適切に対応したい」とコメントした。

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