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7月16日(水)

<埼玉大会>いつか母国を強豪に 八潮のアブドラ・バラ投手

北本戦に先発した八潮のエース、アブドラ・バラ投手
北本戦に先発した八潮のエース、アブドラ・バラ投手=15日、上尾市民球場

 「最後の最後までみんなに迷惑を掛けてしまった」。15日、上尾市民球場での3回戦で北本に2―12(5回コールド)の大敗を喫し、拳を地面にたたき付けて悔しがる八潮3年の左腕エース、アブドラ・バラ投手。野球を通じて日本文化を学んできたパキスタンの星は将来、母国で野球を発展させるため「この悔しさも全て伝えていきたい」と頬を伝う涙を拭った。

 

思いやりの大切さ学ぶ

 

 小学2年の時に父親の仕事のため家族で来日。小学4年で地元の野球チームに入った。「三振を取ったときが最高に気持ちいい」と、すぐに投手の魅力にはまった。

 

 宗教上の理由で肉を食べることができず、仲間との食事もひと苦労。合宿では一人だけ魚を使った別メニューを用意してもらった。もっとも大変だったのが礼儀。「(日本人は)何でもすぐにありがとうと感謝する。不思議だった」。高校野球ではグラウンドに入るたびに一礼。あいさつも大切にする。相手を思いやる日本の文化が難しかった。

 

 心境が変わったきっかけは昨春の東部地区大会だった。白岡戦で登板し、1回8失点10四死球と自滅した。しかし後ろで守っていた先輩たちは「大丈夫。気にするな」と優しい声を掛けてくれた。

 

 その言葉に驚き、そして優しさが心に染みた。相手を思いやることの大切さが分かった気がした。「仲間がエラーしても、自分がカバーできるような投手でいたい」。今ではそう心に秘めてプレーしている。

 

 北本戦では、打線を抑えたい気持ちが空回りしてしまった。「厳しくいこうと意識し、ストライクが入らなくなった」と悔やむ。

 

 高校野球は終わったが、新たな夢が見つかった。「母国で野球を普及させたい。そしていつかは強豪国にしたい」。大志を胸に力強く語った顔はどこかすがすがしかった。