【NEOインタビュー⑫】フレキシブル 高齢者の住宅課題解決 埼玉県越谷市
大学卒業後、友人の紹介でさいたま市の不動産会社に5年半勤務。当時担当した1人暮らしの高齢女性が一般の賃貸住宅に入れず、望んでいない高齢者施設で暮らすうちにみるみると元気を失っていくさまを目の当たりにした。
独居高齢者は孤独死や身元引受人の不在で事務手続きが滞るリスクがあるとはいえ、「果たしてこのままの慣例で良いのか」。まだまだ心身共に健康で自立した生活が可能であるにもかかわらず、高齢や単身である(保証人がいない)ことを理由に簡単に入居を断られてしまう現実。少子高齢化で今後ますます増えるであろうこの社会課題に「いま向き合わなければ間に合わなくなる」と一念発起した。
「高齢者を受け入れてくれる物件がなければ、自分でつくればいい」。クオリティー・オブ・ライフ(QOL=生活の質)を守りつつ、「地域インフラの役割も担いたい」と熱く語る。
越谷市袋山に建設中の高齢者向け賃貸住宅「まほろばⅠ」は、スタッフが月に1度、約1時間の個別訪問で水回りの清掃や洗濯などの家事をサポートする。入居者とコミュニケーションを図りながら日々の小さな変化を把握し、必要に応じて福祉や医療サービスにつなげる狙いもある。居室にはWi―Fiセンシング(感知機器)を導入し、プライバシーに配慮しつつ安否を確認。緊急時には24時間365日体制で駆け付ける。
待望の物件は11月に竣工(しゅんこう)、12月から入居を開始する予定だ。「まずは自社でノウハウを蓄積し、将来は同業他社にもこのスキームを広めたい」と意欲を見せた。
◆私を支える「妻の存在」
孤独死リスクなどを理由に高齢者への賃貸住宅の〝貸し渋り〞が社会問題化している。「自分らしく、長く暮らせる住まいを全ての人に提供したい」と不動産業界のタブーに切り込む和也さん。その揺るぎない信念を支えているのが、看護師資格を持つ妻茉穂さん(31)の存在だ。
ほぼ前例のない新たな挑戦にも「やると言ったら決して曲げませんから」とほほ笑む茉穂さん。年末に入居が始まる「まほろばⅠ」では生後9カ月の長女を育児しながら、水回りの清掃や買い物代行などの生活見守りサービスを統括。夫婦二人三脚で高齢者支援に当たる。









