【NEOインタビュー⑦】ミニシアターOttO 地域の公共的な存在に 埼玉県・さいたま市大宮区
「地域の公共的な存在になりたい」。その言葉を裏付けるように、一般的なミニシアターよりも窓が多く開放的で、親しみやすさを感じる。JR大宮駅西口から徒歩5分の好立地で、カフェやシェアハウスを併設。賃貸の安定収益を運営費用の柱とするユニークなビジネスモデルを持つ。
母親の影響で、子どもの頃から映画が身近だった。未知の世界を知る体験が楽しく、人生に悩んだ時期に背中を押された米映画「アラバマ物語」(1962年)には、黒人差別と戦う主人公の弁護士・アティカスに「大人像や世の中の立ち振る舞いを学んだ」。
本業は設備工事業で映画館とは縁遠い人生。義父が所有していた土地を活用する形で、県内のミニシアター関係者らに頼りつつ、ゼロからつくり上げた。過去の区画整理などが影響し地域の交流が希薄になった背景を知り、「地域の人が集まる場所をつくりたい」と思ったからだという。
「OttO(オット)」の由来は、「息子に相談したら、おっとう(お父さん)がつくったから」と言われたことに加えて、古代ゲルマン語で「相続財産」という意味があったことだ。「義父から継いだ場所だけでなく、映画そのものの作品としての財産を残して継承していきたい」という思いが込められている。
今年3月に15年の節目を迎えた東日本大震災の関連では、複数のドキュメンタリーを上映。有識者を招いたトークイベントを開催するなど大手映画館にはない体験も強みだ。4月末には開館から1年を迎え、「いかに続けられるかを考え、新しい映画館の成功例を作りたい」
◆私を支える「映画館担当 柴田笙さん」
人気シアターの上映作品の選定や企画を一手に手がけるのが柴田笙さん(26)。東京都北区の映画館で勤務していたところOttOが開館することを知り、「家族が背景にあり地域のことを考えている」と魅力を感じ参画。配信サービスにはない映画や知られざる名作を紹介している。
かつて10カ所以上あった大宮周辺の映画館のほとんどが姿を消した。しかし「お客さんを観察していれば、望んでいる人が間違いなくいると感じる」とし、「多くの人が足を運べる『色のない映画館』にして、お客さんにどんな映画館にするかを決めてほしい」と笑顔を見せた。








