【東京ウオッチ】渋谷からグローバルに、ギャラリーNANZUKA再始動―反戦の意思込めた斬新なグラフィックで飾る いまのTokyoをつかむイベント情報(10日~18日)
◎今週の一推しイベント
【10日(土)】
▽「田名網敬一 DO NOT BOMB」(~17日、渋谷区、入場無料)
神宮前から渋谷駅東口エリアへ移転したギャラリー「NANZUKA」が、新たなオープンを記念し、アーティストの故・田名網敬一さんの個展を開いている。
幼少期の戦争体験を創作の原点とした田名網さんは、重たいテーマを「真剣に、明るく表現する」姿勢を貫いた。複合施設「渋谷アクシュ」内に誕生した新ギャラリーの天井高4メートルの開放的空間に、ベティ・ブープやスーパーマン、赤塚不二夫さんの漫画キャラクターが、ミサイルや戦闘機のモチーフと共存する。大型画面の「無限宇宙」と「身体感覚」は初公開。鋭敏な感覚で時代を捉えたグラフィックや立体の作品群が、斬新な色彩のエネルギーを放つ。
渋谷を観察し、そこに集まるギャルたちの生態や動きを面白がり、「金魚」になぞらえた田名網さん。展覧会名にもなった晩年の代表作「DO NOT BOMB」では、金魚を爆弾の比喩として表現した。2024年に国立新美術館で開かれた大回顧展のために、NANZUKA代表の南塚真史さんが制作を依頼した作品だ。1960年代後半の田名網作品「NO MORE WAR」の精神を現代へ接続する新作となったが、田名網さんは会期中に88歳で亡くなった。
ラフイメージを南塚さんに見せた時、「かわいいでしょ」とちゃめっ気たっぷりに笑ったという。暗い表現を好まず、反戦の意思をダイナミックに、ユーモアたっぷりに描く姿勢は最期まで健在だった。
南塚さんは、新ギャラリーの近くにスタジオを構えていた田名網さんとの縁を振り返り「渋谷でのオープニングは、彼の作品以外には考えられなかった」と語る。
「現在の渋谷は、かつてと違った国際的な顔を持っている。NANZUKAが歩んできた歴史と、田名網さんを中心としたアーティストたちの思いを、ここからグローバルに伝えていきたい」
○そのほかのお薦めイベント
【10日(土)】
▽「LIXILショールーム東京がリニューアル」(新宿区)
住宅設備大手LIXILが西新宿に構える旗艦ショールームがリニューアルオープンした。
都内の新築マンション平均価格が1億円を突破するなど住宅価格の高騰が続く中、既存の中古住宅の需要が高まっている動きに注目。中古購入者のリフォームの課題解決に特化したサービスを展開する。
企画リーダーの林佐江子さんは「新築が一番という考えは若い世代を中心に消えつつあるが、中古住宅をどういう空間にするかイメージできない方が多い。その不安に寄り添い、理想の住まいを中古で実現するサポート体制を整えた」と語る。
新設エリアでは三つのコンテンツを体験できる。パネル展示で各空間のイメージ写真を紹介して想像を喚起。実物の床やキッチン、照明、サッシ、トイレなどをトータルにそろえたモデルルームを展開し、空間の統一感が生む居心地の良さを体感できる。AIシミュレーションのコーナーでは、リフォーム前の写真をアップロードして、LIXILの豊富な商材と組み合わせながら、完成イメージを作成できる。
こうした過程では、ライフスケープパートナーが丁寧に説明。実際の相談を受けるリフォームコンシェルジュへとつなぎ、予算に応じた段階的なリフォームも提案する。林さんは「欧州では古い家をライフステージに合わせ、年月をかけて理想の空間にしていく。家は人生そのもの。中古住宅を大切にし、住み心地を追求する文化を広げたい」と期待を込めた。
▽「Otemachi One 平行線が語る顔のゆくえ」(~12月25日、千代田区)
国内外で活躍する現代美術家・江上越さんによるアートイベントが、大手町の複合施設「Otemachi One」で行われている。
海外での生活経験がある江上さんは、言語や文化の違いから生じる“ずれ”や“誤解”に着目し、アートを通じてコミュニケーションの本質を探求。2021年には米経済誌フォーブス・アジア「30 Under 30(世界を変える30歳未満の30人)」に選出された。
今回は同施設の屋内外でパブリックアートの展示に取り組んだ。すれ違う平行線のような人間関係のあり方を、多彩なアプローチで表現。ゴッホやジョン・レノンらの顔を描いた四つのテント風の大型立体作品「光のドーム」は、オフィス街を行き交う人々の感情や記憶と、作品が響き合う空間をつくり出している。
館内には、世界平和への願いをキャンバスに込めた「イマジン」や、抽象画のようなびょうぶ作品を配置。言語や文化を超えた「認識」について人々に問いかける。
初のウインドーラッピング「にじいろ」は、虹に託した「希望」「夢」「多様性」のメッセージを、屋外からの光を生かして鮮やかに表現する。
【15日(木)】
▽「フィンランド前首相サンナ・マリンさん講演会」(19時半、新宿区、事前予約制、オンライン配信あり)
20~30代の女性らの政治参画を支援する団体「FIFTYS PROJECT」が、フィンランド前首相のサンナ・マリンさんを招いたイベントを、新宿文化センターで開く。
2019年に34歳の若さで首相に就任し、世界的に注目を集めたマリンさんの自伝「行動こそ希望!34歳、一国を率いる」の日本での出版を記念した催し。
マリンさんによる講演のほか、今年6月の選挙で2期目の当選を果たした岸本聡子・杉並区長らをゲストに迎えたパネルトークも開催。女性が政治の場でリーダーシップを発揮することや、誰もが平等に機会を享受できる社会について意見を交わす。













