反復するリズムと叙情の妙 久石譲の新作「管弦楽のための協奏曲」日本初演
数々の映画音楽を手がけ世界的に活躍する作曲家で指揮者の久石譲が、東京・サントリーホールで開いた公演で特別編成のオーケストラと共に新作「管弦楽のための協奏曲」の日本初演を行った。
フレーズやリズムを反復させる現代音楽「ミニマルミュージック」の手法と鮮やかな色彩感覚、叙情的で親しみやすい響きが絶妙なバランスで融合。「理想と大衆性が同居した音楽」の作曲を目指す久石の持ち味が発揮された作品となった。
スタジオジブリ作品の音楽などで幅広い人気を誇る久石は近年、特定の情景や物語と結びつけず、音の動きや響きの可能性を追求するクラシックの作品を多く発表している。
「管弦楽のための協奏曲」は全5楽章で、オーケストラのそれぞれの楽器がソリストとして活躍する。各国のオーケストラなど10団体の共同委嘱で作曲され、5月に米ワシントン・ナショナル交響楽団が世界初演した。
鍵盤打楽器などがリズムを刻む中、各楽器が競うように、時に対話するように細かいフレーズを連ねて曲は進む。リズムはめまぐるしく変わるが、久石ならではの、どこか懐かしさを感じさせる曲調も取り入れられ、多彩な展開が聴衆の集中力を途切れさせない。
推進力に満ちた楽章と叙情性のある楽章が交互に展開し、両方が一体となる第5楽章の伸びやかな弦の旋律が胸を打つ。
音楽にどのような場面を想像し、どのような感情を抱くかは聴き手にゆだねられる。やむことのないリズムに陶酔し、自分なりの映像を思い浮かべて聴いてもいいだろう。あるいは、無情にも時が前へ前へと突き進む中、おのおのが自己を確立しようと必死にもがいている現代人の姿を重ね合わせることもできるかもしれない。(共同通信=田北明大)














