祖母との思い出のショパン ショパコンで注目のリュー・テンヤオ来日公演
昨年ポーランドの首都ワルシャワで開かれた「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール」で4位となり、きらびやかで生き生きとした演奏で注目を浴びた中国出身のピアニスト、リュー・テンヤオが8月に各地で来日公演を行った。
滞在中に応じたインタビューで、演奏したショパンの作品には「亡くなった祖母との思い出が詰まっている」と明かし、「どんな葛藤があっても明るく前向きに生きなければならないとの思いがある。私の演奏で音楽がもたらす力と希望を感じてほしい」と思いを語った。
2日間にわたり開催された東京・サントリーホールの公演。NHK交響楽団のメンバーらと共演したピアノ協奏曲第1番と第2番は、作曲当時の若きショパンの希望や憂いを想像させる自然な表現で聴衆を魅了した。翌日のソロリサイタルでは深みのあるピアノ・ソナタ第2番「葬送」や「子守歌」、輝くような「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」、「舟歌」などで才気あふれるドラマチックな演奏を繰り広げた。
2歳でピアノに興味を持ち、5歳の時にコンクールで受賞したのをきっかけに本格的に取り組むように。「音楽が持つ癒やしの感覚を誰かと共有できること」に幸せを見いだし「もっとピアノと一緒にいたい」との思いを募らせた。
豊かな感受性に恵まれ、幼いころから音楽を聴いて涙を流したり物語を想像したりしていたリュー。のめり込む中で大きな出来事があった。「9歳の時、大切な存在だった祖母を亡くしたのです」。それを機に音楽への考え方が一変したという。
「病に苦しむ祖母に生きる力を与えていたのが、音楽だった。祖母は私が幼い頃から一緒に聴いてきたショパンのピアノ協奏曲第1番を毎日流していて、音楽が人にもたらす大きな力を知るようになった」
リュー自身もショパンが大好きで、音楽に込められた人間の複雑な心情を感じ取ってきた。2024年に16歳でショパンの故郷ポーランドに渡り、音楽院で学ぶ。現地で「ポロネーズ」などの伝統的なダンスや文化に触れることで「ショパンの心境にさらに近づけた」と手応えを感じている。
ショパンコンクールでの入賞は「光栄だが、自分も家族も期待していなかった。祖母との思い出の曲を演奏し、自分なりの物語を披露できたのがうれしかった」と振り返る。本選で弾いたピアノ協奏曲第1番は高く評価され、最優秀協奏曲賞にも輝いた。
目指すのは「音楽の伝達者」としてのピアニストだ。「作曲家が表現したかったことを多くの人に届けられる演奏がしたい。音楽の美しさを伝えることで、世の中をより良いものにしたいと思っています」
8月12、13日の東京公演を取材。
















