埼玉新聞

 

9月第一週は防災週間 命守る感震ブレーカー「当たり前」の社会インフラに エコミナミ佐藤央社長に聞く

  • インタビューに答えるエコミナミの佐藤央社長=東京都稲城市のエコミナミ

    インタビューに答えるエコミナミの佐藤央社長=東京都稲城市のエコミナミ

  • アース付きのコンセントに差し込むだけで動作可能となる感震ブレーカー「瞬断」(エコミナミ提供)

    アース付きのコンセントに差し込むだけで動作可能となる感震ブレーカー「瞬断」(エコミナミ提供)

  • インタビューに答えるエコミナミの佐藤央社長=東京都稲城市のエコミナミ
  • アース付きのコンセントに差し込むだけで動作可能となる感震ブレーカー「瞬断」(エコミナミ提供)

 今週は「防災週間」(9月5日まで)。政府が首都直下地震の緊急対策として普及を急ぐ「感震ブレーカー」。地震による電気火災(通電火災)を防ぐ切り札とされる一方、社会的な認知や設置のハードルはいまだ高い。感震ブレーカーを開発製造しているエコミナミ(東京都稲城市東長沼)の佐藤央社長に普及に向けた課題や、製品開発に込めた思いを聞いた。

 -感震ブレーカー開発の経緯は。

 開発のきっかけは、阪神・淡路大震災の大火災時に消防士が感じた『人を助けられなかった』という苦しみの話だった。大地震では火災が多発し、その原因の多くが電気に起因していることから、電気火災を防ぐための装置として、感震ブレーカーの開発に着手した。

 -感震ブレーカー開発のコンセプトは。

 工事不要で誰でも簡単に設置でき、揺れという物理現象を利用したシンプルな仕組みで長期間安心して使えることを重視している。

 -開発した感震ブレーカーの特徴は。

 既存の感震ブレーカーが普及しない理由は設置の難しさ、動作の正確性、長期信頼性の3点にあった。そこで設置の簡易性・動作の正確性・堅牢性を基本コンセプトとし、振り子の物理特性を活用したシンプルな構造とアース付きコンセントに差し込むだけで設置できる仕組みを開発した。

 -今年6月に政府が改定した首都直下地震の緊急対策推進基本計画の1つが感震ブレーカーの普及です。普及に向けてどのように考えますか。

 最大の課題は感震ブレーカーの必要性が一般に十分知られていないことだ。水や食料などの備蓄は命をつなぐ準備ですが、感震ブレーカーは命を守る準備として重要だ。普及には国・自治体・企業が連携し、啓発から配布・設置まで一体となった仕組みが必要。特に木造住宅密集地や高齢者世帯などから優先的に導入し、購入補助だけでなく配布や設置支援まで踏み込むことが求められる。

 感震ブレーカーは一軒の家だけでなく、地域全体を火災から守る社会インフラとしてとらえるべきだ。最終的には住宅用火災警報器のように各家庭に設置されているのが当たり前という社会を目指し、国・自治体・企業が役割を果たし地域単位で設置を進めるのが現実的だ。

 -どのような企業を目指していますか。

 単なる良い製品をつくる企業ではなく、社会課題を見つけてアイデアと技術で解決する企業を目指している。従来は省エネ性と快適性を両立する床暖房やエアコンの開発を通じて人々の暮らしを豊かにしてきたが、東日本大震災や激甚災害、新型コロナウイルス感染症の経験から安全・安心な暮らしが前提であることに気付き、防災分野にも事業領域を拡大した。まだ世の中にないけれど本当に必要とされているものをつくることを理念としている。

 -目指す企業の実現のためにどのように取り組んでいますか。

 出発点は社会課題であり、『何をつくれば売れるか』ではなく、『社会で何が困っているか』『災害時に本当に必要なものは何か』から考えている。課題発見後はできない理由を並べず、どうすれば実現できるかを徹底的に考え、必要に応じて大学や研究機関、行政、自治体、企業と連携する。製品開発だけでなく、自治体との連携や制度提言、普及啓発まで含めて取り組み、社会課題の解決を目指している。

=埼玉新聞WEB版=

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