女性が亡くなる…熱中症で エアコンを使わず「大丈夫」、何度も顔を合わせた男性「守れたかもしない」…悔やんで“新リモコン”を開発 設定した室温に達するとエアコンを作動させる仕組み 停電後も自動で復旧
設定温度に達すると自動的にエアコンを起動させ、室温を下げる―。発明家としても活動する春日部市の遺品整理業、長沢幸義さん(56)が開発したリモコン「ReReCo(リリコ)」が注目を集めている。高齢者やペットの命を見守る新しい熱中症対策グッズとして、昨年5月から販売を開始。大切な人を熱中症で失った後悔を胸に、普及を目指す長沢さんは「室内熱中症の死者をゼロにしたい」と意気込んでいる。
■悲しい出来事
リリコは既存リモコンの赤外線パルスをコピーし、インターネット環境がなくても、エアコンを起動させることができる。5分ごとに室温を確認し、電池使用のため停電後も自動で復旧。メーカーを問わず、ほぼ全ての家庭用エアコンに対応している。
長沢さんは3歳で家電を分解し、「なぜ動くのか」を調べるほど好奇心が強い子どもだったという。都内の金属加工会社に勤務し、2003年から生活の困り事を解決する便利屋を、08年からは遺品整理業をスタート。50歳を迎えて発明に本腰を入れるため、地元で「ブラウン研究所」を設立した。
リリコ開発のきっかけとなったのは、2017年夏に経験した悲しい出来事だった。1人暮らしをしていた近所の高齢女性が、自宅でエアコンを使わずに熱中症で亡くなった。便利屋時代から仕事を通じて10年来の付き合いがあり、親しみを込めて「ばっちゃん」と呼んでいた。
高齢者は体感温度が低下し、暑さに気付きにくい。女性も「昔はなかったから大丈夫」とエアコンに頼るのを拒んでいた。何度も顔を合わせながら、エアコンの使用を強く勧めず、「守れたかもしない命」の喪失を悔やんでいた長沢さん。遺品整理の現場でも、高齢者が熱中症で孤独死するケースを耳にしていた。「室温を感知して、自動でエアコンを作動させるリモコンを作ろう」。そう決意して試作を重ね、約5年かけてリリコを完成させた。
■「必ず防げる」
リリコは今年5月に行われた東京都の暑さ対策グッズコンテストで入賞し、これまでに約3500台を販売している。高齢の親を案じる子どもがプレゼントしたり、留守番するペットのために飼い主が購入したりすることが多い。利用者からは「こういうのが欲しかった」「夏場の心配が減った」といった声が寄せられているという。
総務省消防庁の統計によると、昨年の熱中症による全国の救急搬送者は10万人を突破し、過去最多となった。搬送者の6割近くが「高齢者」で、発生場所は「住居」が全体の約38%を占めて1位だった。
長沢さんは「高齢化が進み、室内熱中症は大きな問題になっているが、きちんと対策すれば必ず防げる。自分の発明で、たくさんの人を笑顔にしたい」と話している。
リリコは1台9850円。自社サイトなどで販売しているほか、大手家電量販店やディスカウントストアでも取り扱われる予定。
問い合わせは、ブラウン研究所(電話048・872・6815)へ。











