埼玉新聞

 

【連載】さいたま市の英語教育 児童生徒の苦手意識、対応を模索 「英語が苦手な子どもは各クラスに10%」…

  • ALTミーティング研修で、模擬レッスンなどを通して情報交換するロジャー・イコフさん(左端)ら=9日、さいたま市浦和区の市立教育研究所

    ALTミーティング研修で、模擬レッスンなどを通して情報交換するロジャー・イコフさん(左端)ら=9日、さいたま市浦和区の市立教育研究所

  • ALTミーティング研修で、模擬レッスンなどを通して情報交換するロジャー・イコフさん(左端)ら=9日、さいたま市浦和区の市立教育研究所

 さいたま市独自の英語教育が始まって20年。子どもたちが物おじせずプレゼンテーションをしたり、廊下で擦れ違ったALT(外国語指導助手)とあいさつを交わす光景は日常となった。一方で、どうしてもなじめず、苦手意識を持つ児童生徒もおり、対応が模索されている。

■特別な支援も必要

 毎月1回、浦和区岸町の市立教育研究所で開かれているALTミーティング。課題を抱える児童生徒への対応について取材に応じた、市立城南中(岩槻区)と同川通中(同)を掛け持つALTのロジャー・イコフさん(39)は「支援の必要な子を把握し、根気強く時間をかけて相手をしている」。同美園小(緑区)のアルビー・コレガドさん(40)も「話すのが苦手な子どもに寄り添っている」と、答えた。

 「英語が苦手な子どもは各クラスに10%ほどおり、特別な支援が必要だと感じている」と、ある専科教員は明かす。英文字がうまく書けなかったり、人前での発表をちゅうちょする子は少なからずいるという。

 グローバル・スタディ(GS)は専科教員や担任、非常勤講師、ALTの複数体制で担われることが多い。課題を抱える児童生徒には、付きっきりで指導する学校もあるが、ALTが必ず入るとは限らず、専科教員のみの授業もある。

 「苦手意識の背景には、ディスレクシア(発達性読み書き障害)の特性が隠れているケースがある」との指摘もある。岩槻区の目白大学言語聴覚学科の春原則子教授は「英語は文字と音の対応が複雑で難しい言語。英語学習で初めて障害の特性が表面化することは珍しくない」と話す。就学時のアセスメント(読み書き困難の把握)で必要な支援につなげる自治体もあるが、同市では導入に至っておらず、「早期での気付きが自尊心の低下や不登校を防ぎ、学習意欲を支える」と、春原教授は対策の必要性を説いた。

■中1ギャップと受験

 中学に進む際、「聞く・話す」から「読む・書く」に移行し、生徒がつまづきやすい「中1ギャップ」。小中一貫で学ぶとはいえ、同市も例外ではない。

 昨年度の市学習状況調査によると、「GSの勉強が好きか」を尋ねる質問に、「好き」「どちらかといえば好き」と答えた割合は小学1~3年で80%台に達する一方、4、5年では70%台、6年と中学は60%前後と徐々に低下していく。

 こうした状況を受け、同市は小中の教員連携を促進。互いの授業を見学したり、合同研修で、中学での必要な力やつまずきやすいポイントなどを確認している。また、カリキュラムに小中共通の単元を盛り込むなど工夫も凝らす。

 中学になると、高校受験に向けてぺーパーテストの点数も重視されるようになる。市教育委員会の利根川恵子さんは「小学校で発表内容や積極的な姿勢を評価されていた子たちが、テストの点数を見て苦手意識を持ってしまうこともある」と語った。

■個別最適な学び

 情報通信技術(ICT)の活用を支援策の一つと期待する声もある。

 「You can enjoy Jion-ji Temple. It's exciting.」

 6月中旬、市立中島小(桜区)。男子児童らは机の上に置かれたタブレット端末を前に、ジェスチャーを交えながら、楽しそうに岩槻区の慈恩寺を紹介していた。この日の授業は、6年と中学1年で習う共通単元「さいたまジュニアプロモーター」で、地域の魅力を伝える動画を撮影・編集する内容。同校のGS科非常勤講師、上村裕子さん(52)は「撮り直すたびに何度も英文を練習する。発表に抵抗感があった子たちも友達の手助けでやり切った」と、効果を実感する。

 タブレットでのスピーキング練習や音声読み上げ機能など、ICTを効果的に活用する教員も増えているという。市教委主任指導主事の大津あずさ教諭(中学校担当)は「個別最適な学びができるようになってきている」と強調した。
 

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