埼玉新聞

 

親子で対決「最高の舞台」 熊谷商の橋本主将「恩返しできた」、深谷一監督で父の忠さん「悔しいけど、いいバッティング」

  • 親子対決を演じた深谷一の橋本忠監督(左)と熊谷商の真太朗主将=14日、ハレスタ熊谷

    親子対決を演じた深谷一の橋本忠監督(左)と熊谷商の真太朗主将=14日、ハレスタ熊谷

  • 親子対決を演じた深谷一の橋本忠監督(左)と熊谷商の真太朗主将=14日、ハレスタ熊谷

 「意識しなくていい。いつも通りにやってくれ」―。14日に行われた第108回全国高校野球選手権埼玉大会の3回戦。熊谷商の橋本真太朗主将(3年生)は父・忠監督(55)が率いる深谷一と対戦し、14―0で念願の親子対決を制した。真太朗さんは「直接対決という『最高の舞台』で、成長した姿を見せることができた」と笑顔を見せた。忠さんは、敗れはしたが、息子のプレーに目を細めつつ、全国舞台への進出に期待を込めた。

 6月17日に、さいたま市大宮区の大宮ソニックシティで行われた埼玉大会の抽選会。Dシード・熊谷商の三つ右の枠に並んだのは、父の率いる深谷一だった。真太朗さんは「お互い勝てば、対戦できる。自分のプレーを見てもらうことができるかもしれないと思った」と当時の思いを振り返った。

 真太朗さんが野球を始めるきっかけとなったのは、やはり指導者を務める忠さんの影響だった。高校野球に携わること、28年。家で甲子園を見たりするなど、幼少期から野球に触れる環境が常にあった。「ちっちゃいころはよく一緒にやった」と忠さんとのキャッチボールが、今でも大事な思い出の一つだ。

 家で忠さんと話すのは野球の話ばかり。「プレーの話よりも、身の回りの整理整頓など人間性の面でよく怒られる」と苦笑する真太朗さん。それでも、「お父さんに言われ続けてきたことが、主将としてチームをまとめるのに役立っている」と、家でも指導者の一面をうかがわせる。

 試合当日、家での会話は特になかったという。それでも2人の思いは同じだった。「いい試合にしよう」―。1番・左翼手で先発出場した真太朗さんは、二回にチームを勢いづける左前打を放ち、主将としても率先してチームをまとめ上げた。

 勝利という形で成長した姿を父に見せた真太朗さんは、「チームの力で勝つことができた。恩返しができたのかな」と笑みをこぼす。忠さんは「やっぱり複雑な感情。ヒットを打たれたのは悔しいけど、『いいバッティングだな』とうれしいような。もうちょっといい試合をしてあげたかった」と悔しそうな表情を見せた。

 忠さんも家に帰れば、熊谷商に通う息子を持つ父親だ。「監督としては行けなかった夢舞台。ぜひ親として、(甲子園の)アルプススタンドで応援してみたいな」。試合後、父親の顔に戻りながら、家族の悲願の達成へ、息子のさらなる成長を促した。

ツイート シェア シェア