一斉退職…半数の職員、なぜ職場を去る 詳しい説明なし 認定こども園が説明会、憤る保護者も 園長「再発防止策はコミュニケーション促進、園の美化」 退職する職員「有給休暇を拒否も。心が折れると判断」
さいたま市岩槻区の認定こども園「白菊幼稚園」(学校法人清文学園)で、職員22人のうち半数の11人が3月末で一斉退職することが分かった。2月に開かれた保護者説明会で、男性園長は新たに10人の採用が決定しているとして、新年度もこれまで通り運営を続けると説明したが、保護者は「また同じことが起きるのでは」「子どもが心配」と不安を募らせている。
同園に通う子どもの保護者によると、2月9日にアプリを通じて担任を受け持つ保育教諭6人の退職について連絡があり、同14日に保護者説明会が開かれた。説明会では、副園長やバスの運転手、調理員らも含めて計11人(パート含む)の退職が判明。退職理由の詳しい説明はなかったが、再発防止策として職員会議の実施やコミュニケーション促進、園の美化が挙げられた。4月からの入職者数を聞かれた園長が確認に入る場面も見られ、あいまいな説明に憤る保護者もいたという。
説明を聞いたこの保護者は「担任8人のうち残るのは2人だけで、新しく入る先生も頼る人がいない。しばらくして退職してしまい、運営できないから転園先を見つけてと言われる可能性もあるのでは」と嘆く。説明会は約2時間半に及んだが多くの疑問が残ったとして、「人数がそろえばいいという考えのように感じた。子どもを預ける親として、何か起こるんじゃないかと不安」と打ち明けた。
一斉退職の裏で何が起きているのか。退職する職員が取材に応じた。
前園長の体調不良に伴い、昨年7月に現園長が就任。その後、時間外労働の割増賃金が支払われなかったり、有給休暇の取得を申し出ても理由を聞かれて拒否されたりするなどの扱いを受けたという。昼食は園児の食事を手伝いながら、自身の給食を急いで食べる状態で休憩はほとんど取れていなかった。
さらに「指示を出す時や何かを尋ねた時など、事あるごとに『弁護士の判断』『弁護士が言っている』と言われ、それ以上物を言わせないような圧があった」と証言。最後まで残るつもりで闘ってきたと語る職員だが、「状況を変えられず、このままでは心が折れてしまうと判断した。子どもや保護者に申し訳ない」と悔しさをにじませた。
別の保護者は「子どもは退職する先生のことが大好きだった。今まで何も心配せずに預けられていたのは先生たちのおかげ」と語る。転園も考えたが、最終的には「友達がいるから移りたくない」という子どもの希望を尊重した。「4月以降、『行きたくない』とならなければいいが…。こうなる前にできることはなかったのか。これから入る子どもたちのためにも良い園になってほしい」と複雑な心境を明かした。
認定こども園の指導や監督を行う市幼児政策課によると、園長から一斉退職について報告を受けたのは1月中旬。4月からの人員体制を整えるように伝え、2月中旬には確保できていると連絡があった。職員がそろうか未定だったため4月入園の募集は停止したが、人員が整っていることを確認できたため募集を再開するという。市には保護者から不安の声も寄せられているが、担当者は「職員数と園児数については毎月報告を受けており、注意深く見ていく」と静観する構えだ。
白菊幼稚園は1956年に設立され、2021年4月に認定こども園になった。園長は取材に対し、一斉退職の事実を認め「来年度の体制について準備を進めており、保育が安定して行えるよう必要な体制を整えています。保護者の皆さまにご心配をおかけしていることは認識していますが、子どもたちが安心して園生活を送れる環境を守ることを最優先に、理事会を含めた組織として誠実に対応してまいります」と文書で回答。職員の労働環境や勤務体制については理事会で事実関係を確認中とし、「必要な点については適切に見直しを行い、より良い勤務環境となるよう改善に取り組んでいきたいと考えています」と回答した。









