埼玉新聞

 

燃料製造の北上尾商事が特別清算 業務用の固形燃料メーカーとして長い業歴 カセットコンロやボンベなども製造 コロナ禍以降の飲食店や宿泊施設の苦境で業績が悪化 負債総額は22億円

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    燃料製造の北上尾商事が特別清算

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 各種燃料製造の北上尾商事(上尾市、旧ニチネン)が4日、さいたま地裁から特別清算開始命令を受けたことが分かった。帝国データバンク大宮支店によると、負債総額は約22億円。

 同社は1977年創業、84年3月に法人改組した。業務用固形燃料メーカーとして長い業歴を有し、固形・液体燃料を主体にカセットコンロやボンベ、グリルなども製造。飲料水やウオーターサーバー、業務用洗剤の販売なども手がけていた。

 主力の燃料類は飲食店や宿泊施設、アウトドア用品を中心に多種多様な品種を用意。本店に加え、同市内に複数の事業所、岩手県や群馬県内に製造拠点を開設。そのほか中国に関係子会社を持つなど大手ホームセンターや量販店、雑貨店などを相手に2007年3月期は年売上高約27億7800万円を計上。その後もネット事業を展開するなど業容は拡大し、19年3月期は約49億7500万円まで伸長していた。

 だが、多額の有利子負債で収益面は長年低調。その後も積極的な投資で金融機関からの借入金は年商を上回る水準にまで達し、資金繰りは余裕のない状態が続いていた。コロナ禍の20年以降はエンドユーザーの飲食店や宿泊施設が苦境に陥り、業績が悪化。中小企業再生支援協議会(現中小企業活性化協議会)の支援下でスポンサーを探しながら再建を模索していた。

 国内投資ファンドをスポンサーに迎えた上で、24年8月に会社分割で事業を新「ニチネン」(同所)に移管、同時に現商号に変更した。25年7月31日の株主総会決議で解散していた。なお、新会社のニチネンは通常通り営業している。

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