埼玉新聞

 

2頭の御神馬が硝煙の中を駆ける 埼玉・小鹿野で鉄砲まつり 1年の締めくくりとなる祭典に熱狂

  • 火縄銃の硝煙の中を駆ける御神馬=14日午後4時ごろ、小鹿野町飯田の八幡神社

    火縄銃の硝煙の中を駆ける御神馬=14日午後4時ごろ、小鹿野町飯田の八幡神社

  • 火縄銃の硝煙の中を駆ける御神馬=14日午後4時ごろ、小鹿野町飯田の八幡神社

 小鹿野町飯田の飯田八幡神社例大祭「鉄砲まつり」(県指定無形民俗文化財)の「お立ち神事」(銃火奉納)が14日、同神社で行われた。寒空に火縄銃の乾いた銃声が鳴り響き、2頭の御神馬が硝煙の中をさっそうと駆け抜けた。境内に集まった多くの見物客が、秩父地方の1年の締めくくりとなる祭典に熱狂した。

 銃火奉納は江戸時代に豊猟祈願や猟師の試し撃ちのために始まったとされ、現在は狩猟の安全などを祈願する。銃の発砲が奉納行為になる全国でも珍しい神事は、長年、地元や全国のファンに親しまれている。

 夕闇が迫るころ、十万石の格式と270余年の歴史を誇る大名行列が独特の所作で行進し、会場を沸かせた。御神馬は白装束に烏帽子(えぼし)をかぶった氏子らに引かれて登場。同神社火縄銃空砲奉納保存会と寄居町の鉢形城三鱗会の会員が参道の両側に並び、火縄銃約40丁の空砲を空に向けて放つと、御神馬が急な石段15段を一気に上がった。境内には、張り出し舞台を付けた上飯田屋台が設置され、町立小鹿野小学校の地元児童4、5年生による子ども歌舞伎「白浪五人男」や、上飯田若連歌舞伎が上演され、大勢の見物客でにぎわいを見せていた。

 町観光協会は地域外から祭りボランティアを募り、地元住民と一緒に屋台の曳(ひ)き回しを行うなど、一体で行事を盛り上げた。

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