埼玉新聞

 

与野のアリーナ計画白紙に さいたま市 収容人数5千人規模、公園内に整備予定だった 市長「財政負担増」

  • 【地図】さいたま市中央区(背景薄緑)

    さいたま市中央区

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 さいたま市の清水勇人市長は1日、中央区の与野中央公園内に整備予定だった収容人数5千人規模のアリーナ施設について、建設を白紙にする意向を明らかにした。市議会12月定例会で服部剛市議(公明)の一般質問に答弁した。財政負担の大幅増が見込まれる点などから、老朽化した与野体育館の機能を受け継ぐサブアリーナ整備は進める一方で、メインアリーナについては「与野中央公園以外の適切なエリアへの誘致・整備を検討していく」と述べた。

 服部市議は入札不調となっている「(仮称)次世代型スポーツ施設」整備事業の今後の進め方について質問した。

 清水市長は不調の原因に事業者が想定する事業費と市の予算価格の大きな乖離(かいり)、物価上昇による事業運営の見通しの不透明さを挙げ「現在の要求水準を維持したままで再公募を目指す場合には、本市の財政負担の大幅な増加を見込まざるを得ない。事業を柔軟、適切に見直す必要があると判断した」とした。

 その上で、現在の与野体育館は来年3月に入札を再公告する見込みの中央区役所周辺公共施設再編事業に伴い解体される予定で、利用者への影響を最小限とするために「受け皿となる施設の整備は早急かつ着実に進める必要がある」と同体育館の機能を継ぐサブアリーナ建設の意義を示した。

 一方でメインアリーナは次世代の交流拠点として意義深い施設である点に変わりがないことから「適切なエリアへの誘致・整備について改めて調査検討を進める」とした。石塚正歳スポーツ文化局長も「ゼロベースになるがしっかりと検討したい」と述べた。

 市はスポーツによるまちづくりを進め「みるスポーツ」「するスポーツ」の拠点として、同公園内にプロスポーツ興行などに利用するメインアリーナと市民らがスポーツを楽しめるサブアリーナなどの整備計画を推進してきた。

 ただ基本計画を策定した2023年5月の段階で約52億円と見込んでいた事業費は、昨年11月には物価高騰による建設コストの増加などの影響を受け、2倍以上の約130億円に膨らむことが判明。事業終了の59年11月までに必要な予算として、約130億円の債務負担行為を設定した。

 今年1月には29年12月の開業を目指し、民間事業者に設計から施工、30年間の運営などを一括して任せる方式で、予定価格約130億7197万円で入札公告。しかし、6月に入札参加者から辞退届が提出されたとして入札手続きの中止を発表していた。

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