パトカーで恐喝しようとした警官、今は会社員になり執行猶予の判決 処分され依願退職し就職 30年以上も前のいじめを結びつけ、同級生夫婦を脅していた56歳 ほかに138回も不正 執行猶予となった理由は
警察の業務システムで個人情報を不正に照会し、パトカー内で知人男性から現金を脅し取ろうとしたなどとして、個人情報保護法違反、公務員職権乱用、恐喝未遂の罪に問われた、元鴻巣署地域課警部補の会社員岡田英之被告(56)=羽生市=の判決公判が26日、さいたま地裁で開かれた。佐伯恒治裁判官は被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)を言い渡した。
佐伯裁判官は判決理由で、警察官として本来法を守るべき立場にあり、30年以上も前のいじめ被害にかこつけて、かつての同級生を相手に犯行に及ぶのは言語道断とした一方で、前科がないことなどから刑の執行を猶予した。
弁護側は、被告が被害男性から受けたいじめの影響で現在も適応障害などの後遺症に苦しんでいることなどから社会での更生を求めていた。
判決によると、岡田被告は2~5月の間、高校時代の同級生である東松山市の男性=当時(55)=とその妻の個人情報を138回にわたって不正に照会し、男性方を訪れてパトカー内で男性とその妻に対し現金15万円を脅し取ろうとした。さらに部下の20代男性巡査に対し、必要がないのにパトカーを運転させた。
県警は9月11日付で被告を停職6カ月の懲戒処分にし、被告は同日付で依願退職した。
■部下を車外に出し「お金返して。奥さんの職場にも電話してね」(以下、初報記事)
警察の業務システムで個人情報を不正に照会し、パトカー内で知人男性らから現金を脅し取ろうとしたとして、埼玉県警捜査1課などは8月21日、個人情報保護法違反、恐喝未遂、特別公務員暴行陵虐、特別公務員職権乱用の疑いで、鴻巣署地域課の警部補の男(55)=羽生市南羽生2丁目=を逮捕した。
逮捕容疑は2月23日と5月2日、同署内のパソコンを利用して氏名や住所を不正に照会し、5月2日に東松山市内の男性(55)方に赴き、パトカー内で男性と妻に対して「15万円も貸してさ、返してくれる」「奥さんの職場の方にも電話してね」などと申し向け、現金を脅し取ろうとした疑い。さらに必要がないのに、部下の20代男性巡査に対し、パトカーを運転して男性方に赴くように命じて、パトカーを走行させたなどの疑い。
県警によると、男は男性と学生時代の同級生で、「学生時代にお金を無心され、15万円ぐらいに積み上がっていた。脅し取ろうとは思っていなかった」と供述している。事件当時、男は職務中で、男性巡査に車外で待機するよう指示。車内のドライブレコーダーにやりとりが録画されていた。
男は2022年9月から、同署地域課の無線自動車警ら係の係長として勤務し、勤務態度に問題はなかったという。県警は他にも不正に照会を行っていたとみて余罪を調べている。
県警の斎藤克也首席監察官は「職員が逮捕されたことは誠に遺憾。今後の捜査の結果を踏まえて厳正に対処する」とコメントした。










