住民悩ませる悪臭、道路陥没の下水道から 県が八潮で講演会 硫化水素の影響、医師が説明 「低濃度では比較的無害」「臭いでストレス感じる」「腐食、メンタル的な被害も県が責任を」
2025/11/24/11:01
1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故で、県は23日、同市内で、埼玉医科大学病院臨床中毒センターの医師上條吉人センター長を招き、「硫化水素の健康への影響に関する講演会」を開いた。事故現場近くの住民89人が参加した。
陥没事故は発生から間もなく10カ月。損壊した下水道から発生した悪臭が住民を悩ませ、金属がさびたり、健康被害の声が後を絶たないという。県は硫化水素による健康への影響などに関する科学的な知見を共有してもらおうと、講演会を開催した。
上條センター長は講演で、硫化水素の特徴や濃度による健康への被害について説明した。水に溶けた硫化水素が反応し金属は腐食する。人の体には硫化水素を解毒し排出するメカニズムがあるとし、事故現場周辺地域での影響については「データを見て直接的な健康被害はない」と述べた。
上條センター長は、中濃度で気管支炎や角結膜炎、鼻炎などの症状があるが、低濃度では比較的無害と解説。悪臭については「臭いによって感じるストレスはさまざま。汚物から発生する硫化水素に不快な印象を持つ。それによってストレスを感じることがある」と語った。
質疑では住民から不整脈、頭痛、ぜんそくなど健康の悪化、金属のさびやペット、植物への影響などさまざまな質問が寄せられた。上條センター長は、低濃度の硫化水素が普段から発生する温泉地での事例などを挙げ回答した。
上條センター長は「金属の腐食は温泉地でも起こっている。もともと(硫化水素が)ある所で起きたものではない。ここ(八潮)で起きた腐食については県が責任を持つべき。二次的な不快感によって、自律神経の不調が起きたら、メンタル的な被害も当然責任を持つべき」と県の対応を促した。










