三好さんと“道ばた”歩く 春日部で自然観察会と記念講演 連載や出版の裏話も
埼玉新聞で長期連載した「道ばただより」の書籍化を記念した自然観察会と講演会が9日、春日部市内で行われた。読者ら32人が参加し、著者の三好あき子さんらの案内で野鳥や植物を観察しながら、古利根川沿いを散策。講演では、連載や出版の裏話も明かした。
三好さんは、17年半にわたり、本紙で800回連載した「道ばただより」を今秋出版。イベントは出版を記念して、県生態系保護協会春日部支部と埼玉新聞社が共催した。
当日は、あいにくの雨に見舞われたものの、参加者らは古利根川沿いで、アオサギやダイサギ、オオバン、ヒヨドリ、ヒドリガモなど多くの野鳥を観察。雨がやんだ合間に羽を大きく広げたカワウの姿をカメラに収めたりした。
川面に葉を出すコウホネなど絶滅危惧種やオオフサモといった特定外来種の植物なども確認。三好さんと共にガイド役を務めた山下安雄さんは「古利根川は絶滅危惧種と特定外来種がせめぎ合っている」と話した。当日は蔵や河岸跡などが残る同市内の古い町並みも見学した。
その後、市内のコミュニティールームで、「足元の自然をみつめて」と題し、三好さんが記念講演。多くの農業排水路が合流し、「大落(おおおとし)古利根川」の名称がある同川の成り立ちを解説した。「農業用水のため、冬と夏で水位が1メートルぐらい変わる。中州もあり、多様な環境で、さまざまな種類の植物や野鳥が生息している」と述べた。
連載のきっかけは「一本の怪しい電話だった」と、会場の笑いを取った。「本当は文章が苦手で嫌い。1、2年ぐらいならと思って始めた」と明かした。「最初は一眼レフで撮っていたが、小さいカメラの方がいつでも持ち歩けて、すぐ撮れる」と、道路を飛ぶように走り抜けたイタチをポケットカメラで撮影した秘話などを語った。
「記事には間違ったことを書けないので、図書館などで調べ、知識が増えた。ネットは『嘘(うそ)八百』も多い」と笑った。後半は、著作の中から読者の質問に応答。連載にはなく、同書で取り上げた猛禽(もうきん)類のツミについて観察の様子などを詳しく報告した。
久喜市から参加した竹中勝夫さん(69)は「都内から越してきて埼玉新聞を購読している。地域情報が出ていて楽しい。各地をランニングしているが、気になっていた古利根川について知ることができてよかった」。越谷市の畑里子さん(56)は「天気が残念だったが参加してよかった。講演もよかった。また開催するなら参加したい」と話した。










