埼玉新聞

 

埼玉・三郷市議を書類送検 職員への業務妨害の疑い 市役所の窓口で職員へ暴言 市長や議長の自宅前でスピーカーで主張も 市議は「構成要件を満たしていない。議員は辞めない」

  • 【役所】三郷市役所=埼玉県三郷市花和田

    三郷市役所=三郷市花和田

  • 【地図】三郷市

    三郷市の位置

  • 【役所】三郷市役所=埼玉県三郷市花和田
  • 【地図】三郷市

 三郷市役所の受付窓口で、市職員らに暴言を浴びせるなどして業務を妨害したとして、県警は7日、威力業務妨害の疑いで、関根和也三郷市議(45)=三郷市彦江1丁目=をさいたま地検に書類送検した。関係者への取材で分かった。関根市議は埼玉新聞の取材に「構成要件を満たしていない。議員は辞めない」と述べた。

 関係者によると、書類送検容疑は7月下旬から9月下旬までの間、三郷市役所建設部下水道課などの受付窓口で、複数回にわたり、対応した職員らに対して「犯罪者の味方をするんですか。早く辞めさせないと」「ここ辞めろよ。おまえ不適格だ」「官製談合をやったんだよ。犯罪者はここにいちゃいけないんだよ」などと暴言を浴びせ、執務中だった職員らに対応させることを余儀なくさせ、職員の正当な業務遂行を妨害した疑い。

 三郷市は2018年ごろから一連の被害を受けていたとして、木津雅晟市長は「長年にわたり、市は関根議員からさまざまな迷惑行為を受けており、吉川署に被害届を提出しておりました。職員に対するこれまでの不適切な行為は決して許されるものではありません。市としては、今後の捜査に全面的に協力します」とコメントした。

 市議会は9月19日、政治倫理条例に基づく審査会の答申を受け、辞職勧告決議案を可決。武居弘治議長は「辞職勧告決議を受け速やかに辞職することを求めていきたい」と述べた。その後も関根市議の態様に変化が見られないことから、再度審査会を設置。答申を受け、議会は今月下旬にも改めて対応について検討する方針という。

 関根市議は書類送検を受けて、埼玉新聞の取材に「議員が主張をしたのであり、(威力業務妨害の)構成要件を満たしていない」。再度設置された審査会や市議会から弁明を求められても応じないとし、「今回は何も答えない、ノータッチだ。議員は辞めない」と答えた。

■「犯罪者」「辞めろ」威圧的な言動繰り返す

 三郷市の関根和也市議(45)が7日、威力業務妨害の疑いで書類送検された。関根市議は市職員らに対して、「犯罪者」「おまえも辞めろ」の暴言や、市長らの自宅前に来て大声を上げるなどの行為を繰り返していたという。県警は非常に悪質な行為と判断して、書類送検したとみられる。

 市が市議会や警察に提出した動画には、関根市議が8月18日、市役所窓口カウンターで、男性職員に詰め寄る姿が写っていた。当初は静かに話しているように見えたが、いきなりフロアに割れんばかりの怒鳴り声が響いた。幹部職員を名指しし「〇〇は官製談合をやったんだよ。犯罪者はここにいちゃいけない」と、同じフレーズを大声で繰り返した。目の前の職員をにらみつけ「うるせえ、おまえも辞めろ」と暴言を浴びせた。

 関根市議は今年7月の市議選に、無所属新人で立候補し初当選した。市によると、関根市議は議員になる以前から頻繁に市役所を訪問。大声を出すなど市職員に威圧的な言動を繰り返していたという。

 市は関根市議が当選し公人になったことから、従来以上に神経をとがらせていた。市役所だけではなく、夜間に市長や議長らの自宅前を訪れ、スピーカーで自身の主張を繰り返すこともあったという。

 市議選後の8月11日に臨時議会が開かれ、議員活動が実質的に始まってから、関根市議は10月8日までに、延べ67回にわたり市役所内のさまざまな部署を訪問。1日に7部署を訪れる日もあったという。市は警察の指導などを踏まえ、関根市議の行動を録画。8月18日に撮影された動画を市議会、警察に提出した。

 窓口での言動に加え、関根市議は交流サイト(SNS)に、市職員や他の市議を「犯罪者」扱いする内容を投稿した。市議会は9月定例会に合わせて8月18日、政治倫理条例に基づく審査会を設置。市議会は9月19日、審査会の答申を受け、関根市議の辞職勧告決議案を可決した。

 怒りの要因はどこにあるのか。関根市議は書類送検の前に、埼玉新聞の取材に「動画の内容については言葉が強くなってしまった」と釈明した上で事実関係を認めた。一方で、市発注の建設事業で談合があったと主張。記者に対し証拠を示さず「正義が数に負けた。これからも不正を追及したい」と述べた。

 市幹部は、関根市議の態度について「あれだけの怒鳴り声、普通じゃ考えられない。(言われた)職員だけではなく、周りの職員や何より一般市民にも不安や恐怖感を与えてしまう」と振り返った。

ツイート シェア シェア