埼玉新聞

 

特攻の記憶…遺品で学ぶ 埼玉・桶川 鹿児島・知覧の特攻平和会館の出張展示 桶川で訓練を経た若者たちが知覧から出撃 家族に宛てた遺書などから心情に思いはせる 交流展は24日まで

  • 桶川と知覧のつながり、特攻の記憶を伝える交流展=桶川市川田谷の桶川飛行学校平和祈念館

    桶川と知覧のつながり、特攻の記憶を伝える交流展=桶川市川田谷の桶川飛行学校平和祈念館

  • 桶川と知覧のつながり、特攻の記憶を伝える交流展=桶川市川田谷の桶川飛行学校平和祈念館

 桶川市川田谷の桶川飛行学校平和祈念館で、鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館の出張展示による交流展「知覧・桶川から伝える特攻の記憶」が開催されている。

 知覧特攻平和会館は、太平洋戦争末期の沖縄戦で多くの特攻隊員が飛び立った旧陸軍知覧飛行場の跡地。桶川飛行学校平和祈念館が熊谷陸軍飛行学校桶川分教場だった当時、訓練を経た若者たちが知覧の特攻基地から沖縄に向けて出撃した。こうした悲しい歴史の縁から、戦後80年の今年、両館が所蔵する資料を展示する交流展が実現した。

 知覧飛行場は、飛行兵を養成する大刀洗陸軍飛行学校の分教場として1941年に開設した。桶川飛行学校は35年に設立した熊谷飛行学校の分教場として歴史が始まっている。ともに飛行兵の操縦教育を訓練するための場所だった分教場は、戦況の悪化によって知覧は特攻隊の基地に、桶川は特攻に行く学徒たちの訓練所として使われるようになっていった。

 知覧から最初に出撃した特攻隊の隊長が桶川飛行学校の教官だった第二十三振武隊長伍井芳夫大尉(享年32)であり、桶川で編成された第七十九振武隊も知覧から出撃した。交流展では知覧と桶川の深いつながりを知ることができるとともに、遺品や家族に宛てた遺書など貴重な資料によって、隊員たちの心情に思いをはせることができる。

 熊谷市出身の藤井毅さん(83)=鳩山町在住=は「ここには一度訪れたいと思っていた。戦争が始まった年に生まれたので、空襲の時に防空壕に逃げた記憶がある。大変な時代だった。知覧にも昔行ったことがあり、(資料を)よく残してくれていると思う。今度はスケッチ仲間を誘って来たい」と話していた。

 交流展は24日まで。開館時間は午前9時~午後4時半。入場無料。毎週月曜と月末日は休館。問い合わせは、同館(電話048・778・8512)へ。

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