埼玉新聞

 

高校のグラウンドで車横転事故…男子生徒が死亡 運転の17歳を書類送検 自動車運転処罰法違反の疑い 「スリルを味わうために運転」

  • 死亡した生徒が乗っていた軽乗用車の助手席側=17日午後0時40分ごろ、さいたま市西区

    死亡した生徒が乗っていた軽乗用車=2024年11月17日午後0時40分ごろ、さいたま市西区

  • 死亡した生徒が乗っていた軽乗用車の助手席側=17日午後0時40分ごろ、さいたま市西区

 さいたま市西区西遊馬の私立埼玉栄高校のグラウンドで昨年11月16日夜、同校の生徒らがグラウンド整備用の軽乗用車を運転し、横転させて助手席の男子生徒=当時(17)=が死亡した事故で、県警交通捜査課と大宮西署は4日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで、車を運転していた同校2年だった男子生徒(17)=東京都三鷹市=をさいたま地検に書類送検した。同校の複数の生徒が車を運転する行為は常習的に行われていたとみられ、県警は車両管理に不備があったとみて、同校を運営する学校法人佐藤栄学園側を業務上過失致死の疑いで捜査している。

 書類送検容疑は昨年11月16日午後11時20分ごろ、同校グラウンドの陸上競技トラックで、整備用の軽乗用車を運転し、トレーニング場ののり面に衝突して横転させ、助手席に乗車していた男子生徒を死亡させ、後部座席に乗車していた同校1年だった男子生徒(17)=東京都渋谷区=に軽傷を負わせた疑い。

 書類送検された生徒は「車を運転して、ぶつかって横転させた。友達にけがをさせたりしたことは間違いない。スリルを味わうために運転した」と供述しているという。

 県警は事故後、運転していた生徒らが学校で使用していたタブレット端末を調べ、事故以前にも軽乗用車を運転していたとみられる動画を発見。生徒らは過去にも同様にグラウンドで車を運転していた旨の話をしたという。学校関係者らによると、軽乗用車はサッカー部所有で、ナンバープレートはなく、鍵はダッシュボード上の小物入れに保管された状態でグラウンド敷地内に置かれていた。

 事故当時、軽乗用車に乗っていた4人はいずれも同校の寮で生活していた。県警は過去数年間で延べ数十人が軽乗用車の運転や同乗をしていたとみている。

 同課によると、軽乗用車を運転していた男子生徒については、過失致死傷容疑の書類送検に加えて、遺族側からの告訴に基づき傷害致死の容疑で書類送付。後部座席に同乗していた元生徒2人については、運転していた生徒の行為に加勢したとして、現場助勢容疑で書類送付した。

 元生徒の書類送検を受け、佐藤栄学園の高田直芳常務理事は「亡くなった生徒のご冥福をお祈りするとともに、遺族にお悔やみ申し上げる。学園としては重く受け止め、今後も学園として全面的に捜査に協力したい」とした。

■鍵放置に「疑問」 適切対応求める

 さいたま市西区の埼玉栄高校のグラウンドで昨年11月、生徒が整備用の軽乗用車を運転して助手席の男子生徒が死亡した事故から間もなく1年を迎える。近隣住民は学校側への適切な対応を求めた。

 グラウンド近くを頻繁に自転車で通るという70代男性は「施錠はしていなかったのかもしれないが、鍵が置きっ放しだったのはどうなのか」と疑問を抱く。「高校生の遊びが行き過ぎたのではないか。学校としては他の生徒が動揺しないような対応をしてほしい」と話した。

 近所の男性(68)は事故前に比べて、部活動の見学に来る保護者が増え、グラウンドの場所を聞かれることが多くなったと実感している。「学校側は近隣住民に何か説明があってもいいのでは」と対応を求めていた。

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