埼玉新聞

 

国内初の施設を越谷に…日本シームが設立 ペットボトルや食品容器、廃プラスチックの前処理から最終処理までを1カ所で完結 27年の稼働開始目指す

  • リサイクルテストセンターの完成イメージ(提供)

    リサイクルテストセンターの完成イメージ(提供)

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 リサイクル機器製造の日本シーム(川口市、木口達也CEO)は、自治体や企業から持ち込まれるペットボトルや食品容器などの廃プラスチック(廃プラ)の前処理から中間・最終処理までを1カ所で行う国内初の「総合リサイクルテストセンター」を2027年秋に越谷市内に設立する。同社は8年後の33年に売上高100億円突破を目指し、リサイクル設備の設計・施工までを一貫して行う総合プラント企業への転換を図っている。海外からの依頼にも対応し欧州やアジアでの販路拡大を目指す。

 建設予定地は越谷市北東部の船渡地区。建屋は重量鉄骨造3階建てで敷地面積は約3千平方メートル、延べ床面積は約2千平方メートル。26年秋に着工し、27年秋の稼働開始を目指す。総投資額は約15億円の見通し。

 日本シームは独立行政法人中小企業基盤整備機構の成長支援プログラム「100億宣言(中小企業成長加速化補助金)」の第1次公募に申請。成長戦略の中核プロジェクトである「多品種プラスチックの再資源化を実証できるリサイクルテストセンターの新設によるグローバル資源循環への貢献」がこのほど採択された。補助金額は5億円。

 廃プラの再資源化で先行するフランスやノルウェーなど欧州と自社開発の機器を組み合わせて独自のリサイクルシステムを構築。洗浄粉砕機や脱墨装置、選別・押出機などを約50台購入し、人工知能(AI)による選別や自動搬送システムも計画している。

 完成すればリサイクルにかかる費用や歩留まり、品質などを一括で試算し、顧客の要望に沿った処理フローの構築が可能。最終的に生み出された再生プラスチック(ペレットやフレーク)をプラント建設や再資源化の検討材料に活用してもらう。国内素材メーカーや食品包装、家電リサイクル業など幅広い産業界での利用を想定しており、環境負荷の低減と中小製造業の高度化を両立する事業モデルとして期待される。

 同社は昨年10月に「SDGs事業部」を新設。地域住民向けにペットボトルキャップをコマやコースターにアップサイクルする体験会なども実施する。木口CEOは「地球環境を守る循環システムの開発と社会課題の解決を両立する日本発祥のサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に挑戦したい」と話している。

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