性の知識は人生のお守り…埼玉県内で「性といのちの授業」を行う、さいたま・見沼区の助産院院長 信念は子どもに“性を教える”のではなく、共に育む「性共育」
2025/11/01/13:20
なないろ助産院院長の田川智美さん(47)=さいたま市見沼区=は、看護師資格取得から27年、助産師歴21年の豊富な知識と経験を生かし、2010年から埼玉県内で「性といのちの授業」を行う。昨年度は主にさいたま市内の小中学校36校を含む52カ所で講演。これまでに産前産後・出産のサポートは3万人以上、生と性の話をした小中学生や保護者らは2万人を超えた。
子どもたちと接する際、心がけるのが性を教える「性教育」ではなく、同じ目線で共に育む「性共育」。田川さんの確固たる信念だ。「子どもたちの意見から学ぶことは多いし、『教えに来たよ』というスタンスだと心のカーテンを閉められてしまう」。3、5、8カ月の胎児人形や骨盤、自作した子宮や帝王切開を再現できる子宮などのグッズを駆使して理解と想像を高め、そして優しく語りかける。
「人生の中で一番すごいことをしたんだから自信を持って、大丈夫だよ」。何度も出産に立ち会ってきた経験から赤ちゃんが母体から出てきて産声を上げるまでの大変さや命の尊さが身に染みているだけに、思わず感情が高ぶり、しゃべりながら涙があふれてくることもあるという。
性共育講師として講演活動を始めたきっかけは「性の知識は人生のお守りになる」と感じたから。性は自分自身の体や心を守るために必要なことを知る権利だと訴え「小中学生や保護者ら一人でも多くの人に伝えたい」と熱い思いを込める。田川さんも高校3年、中学3年、小学6年の1女2男を育てる母親。「(自分の)子どもたちからリアルな声や、はやりの話が聞けて授業に生かせる」と笑い、その家庭環境にも感謝する。










