さいたま市新庁舎 総事業費は700億円に増 3棟で構成、地下1階、地上18階 さいたま新都心駅からデッキ延伸整備
さいたま市は29日、合併30年の節目となる2031年度をめどに、さいたま新都心への移転・供用開始を目指す市役所本庁舎について、市民広場の一体利用など整備基本設計説明書の素案を公表した。昨年11月の基本設計の着手から、市民ワークショップで出た意見などを踏まえ取りまとめた。総事業費は10月時点で約700億円で、2023年11月の審議会で示された約400億円から約1・7倍に増える試算が明らかになった。
市都市経営戦略部新庁舎等整備担当によると、新庁舎は行政棟、議会棟、中広場棟の3棟で構成。JRさいたま新都心駅から歩行者デッキを延伸整備する。敷地面積は約1万5千平方メートル、延べ床面積は約6万4千平方メートルで地下1階、地上18階となる。市民広場は、市民の一体感を高める多様な催しを行う中広場、芝生広場を中心に訪れた人々の憩いの場となる外広場、地上とデッキをつなぐ階段広場の一体利用が可能で、日常的に居心地の良い市政のシンボル的な場所として整備を進める計画だ。
議会棟は「開かれた議会」を体現し、行政棟は爽やかで質実な外観デザインが特徴。本庁舎は持続可能な開発目標(SDGs)に配慮した環境性能の高い脱炭素型で、免震構造による高い耐震性と安全性を確保し、防災中枢拠点機能を有する。
市は、今月27日~11月28日にパブリック・コメントを募集。市民の意見を踏まえ設計を検討し、来年4月に基本設計説明書を完成させる見込みだ。清水勇人市長は、29日の定例会見で「新庁舎は本市の輝かしい繁栄の物語を紡いでいく拠点。多くの市民に身近で誇らしい存在と思ってもらえるような場所になってほしいと思っている」と述べた。
新庁舎整備の概算事業費に関しては、21年12月に策定した基本構想で示した約238億円から約400億円、そして今回は約700億円と当初の約3倍となった。昨今の物価高や労務単価などの上昇が主な要因で、特に外構などを含む本体工事費が前回の391億円から640億円に大幅に増加。今後も同じ水準で事業コストが上昇すれば、建設工事などの事業者選定手続きを行う予定の来年7月ごろには約750億~770億円に上る可能性もあるという。
新庁舎整備について、全国的にも大型公共事業の入札不調が問題となっている現状を踏まえ、清水市長は「今後の80年を見据えて市民生活を支える拠点として必要な事業」と強調し、財政負担の軽減策としてコスト抑制とともに国庫補助金の活用や民間誘致による収入の確保を挙げた。また市全体の事業推進に関しても「優先順位をつけながら、事業を選択して進めていくことも必要になる」とした。










