埼玉新聞

 

土曜はランチで交流 埼玉・川口の「晴れ晴れキッチン」 高齢者と障害者、地域住民 居場所の提供のために施設の一部を開放 笑顔があふれる場に

  • 晴れ晴れキッチンの店内=9月、川口市芝園町

    晴れ晴れキッチンの店内=9月、川口市芝園町

  • 提供された豆皿ランチ

    提供された豆皿ランチ

  • 晴れ晴れキッチンの店内=9月、川口市芝園町
  • 提供された豆皿ランチ

 高齢者と障害者、地域住民の交流の場に―。芝園団地(川口市芝園町)の一角にある就労継続支援所「晴れ晴れ」では、毎週土曜日に管理栄養士監修の豆皿ランチなどを提供する「晴れ晴れキッチン」が開かれている。スタッフとして接客、配膳を担当するのは、施設に通う障害者や団地に住む民生委員ら。おいしいものを通じて、人と人とがつながることを目指すこの場所では、常に笑顔があふれている。

 キッチンが始まったのは約1年前。芝園団地は入居者の約4割が高齢者で、地域の民生委員から「外出がおっくうになっている年配の人もいる」との話を聞いた晴れ晴れが、居場所の提供のために施設の一部を開放したことがきっかけになった。

■豆皿でおかず豊富に

 看板メニューは、管理栄養士が監修する豆皿ランチ。ご飯とみそ汁、肉・魚の豆皿がそれぞれ一つ、野菜の豆皿が三つなどの計8皿が基本のスタイル。塩分を抑え、素材本来の味を存分に引き出しており、利用者からも「毎日でも食べたいくらいおいしい」と、上々の評判だ。

 豆皿のおかずは季節感を取り入れつつ、毎週メニューを変えている。利用する高齢者の中には、スーパーの総菜や作り置きで食事を済ませてしまう人も多く、毎日同じ料理で栄養の偏りにもつながっている。そこで、豆皿のおかずを食べてもらうことで、日々の食卓の参考にしてほしいとの思いも込められている。

 オープン当初は、ワンプレートのランチを提供していたが、利用者から「いろんな料理をちょっとずつ、たくさん食べたい」との意見があり、豆皿で豊富な種類のおかずの提供を始めた。

■毎週の楽しみに

 障害者について知ってもらおうと、ホールに立つスタッフの中には、障害のある人もいる。携わる業務は食器の片付けや店内の清掃など、健常者と変わらない。実際に、障害のあるスタッフから接客を受けた利用者は「障害があることに気付かなかった。障害のある方が働く姿を地域に見せてくれることで、いざ自分が障害を持つ立場になった際、ハードルが低くなると思う」とし、「生きやすさの向上につながる」と話した。

 芝園団地に住む常連の女性(90)は「団地の友人とも訪れるし、スタッフの方とおしゃべりできるのも毎週の楽しみ」とキッチンが交流の場であるとし、「ごはんも口に合う味なので、これからも通い続けたい」と笑顔でランチを頬張っていた。

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 晴れ晴れキッチンは、毎週土曜日の午前11時~午後4時(ラストオーダーは同3時半)。問い合わせは、晴れ晴れ(電話048・269・8288)へ。

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