埼玉新聞

 

女性で埼玉初…県消防学校の救助科を修了 人命救助が専門の特別救助隊、これまで県内の隊員は全て男性 先輩の姿見て救助隊に憧れ…今年4月、ついに念願の配属 今後の職務へ意欲「柔軟な対応ができる隊員に」

  • 女性で初めて県消防学校救助科を修了した内野亜美さん

    女性で初めて県消防学校救助科を修了した内野亜美さん=狭山市上奥富の狭山消防署

  • 女性で初めて県消防学校救助科を修了した内野亜美さん

 埼玉西部消防局で、人命救助を専門とする特別救助隊に今年4月から配属された内野亜美(つぐみ)さん(28)が、県消防学校(鴻巣市)の救助科を6日に女性として初めて修了した。厳しい訓練を終え、「ずっと憧れだった。やっとスタートに立てたという気持ち」と今後の職務への意欲を語った。

 内野さんは所沢市在住で、父親の影響で消防官を志した。2020年4月に同局に入職。先輩たちの知識量の多さや、毎日鍛錬に向かう姿を見て、救助隊に憧れるようになったという。念願がかない、今年4月に狭山消防署の特別救助隊に配属になった。県消防学校は消防活動に必要な知識や技能を教育する機関で、警防科、救急科など特定の分野の専門知識や高度な技能、技術を学ぶ専科教育がある。その中でも救助科は「特に厳しい」という。

 内野さんは救助科の訓練を、「毎日が充実していた。朝から晩までびっしりと訓練ができる環境で、学びが多かった」と振り返る。意識のない要救助者を運ぶ訓練では、自分より重い人を実際に運ぶ手技に苦戦。教官からは「要救助者は選べないぞ」と、厳しい言葉をかけられる場面もあったという。「分隊の中で得意不得意を理解して、サポートし合えた。あとは気持ち、根性」と笑顔を見せる。

 救助には体力やパワーが必要不可欠だが、がれきの中などの狭い現場では体が小さい方が有利となる場合もあり、多様な人材が必要となる。同局の10月1日現在の職員872人のうち女性職員は47人。これまでは県内の救助隊員は全て男性だったが、本年度に初めて4人の女性が救助隊に配属となった。

 率先して救助に向かう「機動力が強み」という内野さん。救助のエキスパートとして、「どういう対応が求められるかというのは現場に行かないと分からない。シンプルにパワーで勝負しようとしても、強みには変えられない。救出方法の引き出しを増やして、柔軟な対応ができる隊員になりたい」と力を込めた。

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