埼玉新聞

 

JR浦和駅周辺を初の主会場に さいたま国際芸術祭、新市民会館うらわの開館に合わせ2027年に開催 前回は49万人が参加、経済効果は63億円 年末のにぎわい創出、地域活性化に期待も

  • 子ども対象の鑑賞プログラムなど数多くの市民プロジェクトが開催された=2023年10月29日、さいたま市大宮区の旧市民会館おおみや

    旧市民会館おおみやをメイン会場に開催された第3回さいたま国際芸術祭=2023年10月、さいたま市大宮区

  • 子ども対象の鑑賞プログラムなど数多くの市民プロジェクトが開催された=2023年10月29日、さいたま市大宮区の旧市民会館おおみや

 さいたま市が、「第4回さいたま国際芸術祭」を2027年10~12月に開催する意向であることが23日までに、市への取材で分かった。引き続き「市民参加型の国際芸術祭」を掲げ、同年4月に開館する新市民会館うらわなど、文化機能が集まるJR浦和駅周辺を初のメインエリアとして実施する方針。

 同市の国際芸術祭は16年9~12月に「さいたまトリエンナーレ2016」として初開催。2回目は東京五輪の文化プログラムと位置づけられた「さいたま国際芸術祭2020」が20年3~5月に実施される予定だった。ただ新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪は開催を21年に延期。市は20年秋に内容や規模を縮小して開催した。

 大宮区の旧市民会館おおみやをメイン会場に実施した23年の3回目は来場者を含む参加者が過去最多の49万820人。経済効果は約63億6700万円で20年の3倍を超えた。

 市文化政策室によると、4回目のコンセプトは引き続き「共につくる、参加する」市民参加型の国際芸術祭で、期間は27年10月23日~12月26日。3回目(10月7日~12月10日)と同じ65日間だが、開始時期を後ろ倒しすることで年末のにぎわい創出に寄与し、商店街などとの相乗効果で地域活性化につなげたい構えだ。

 さいたま国際芸術祭基本構想では「原則3年ごとの定期的な開催を目指す」としている。前回から4年後の開催となる点について、同室は「市内外の情勢に柔軟に対応するため」とし、新たな文化芸術創造の拠点となる新市民会館うらわが開館する年に合わせて実施するという。

 文化機能が集まるJR浦和駅周辺をメインエリアに、利用者が多く利便性の高い大宮駅やJRさいたま新都心駅などの、主要駅周辺を会場にする「都市回遊型」が特徴。まちなか展示、空き店舗での展示、まちなかパフォーマンスなど市内各所が会場となる。

 過去3回で延べ約138万人が参加、計約114億円の経済効果を生み出した一方、課題や対策としては、25年度の市民意識調査の中間報告書によると認知度が17・4%と決して高いとはいえず、市民に関心を持ってもらうために教育、子育て、福祉、飲食など身近な分野との連携で裾野拡大につなげる必要がある。

 市議会12月定例会の補正予算に27年の開催に向け、実施計画や広報PR戦略の策定費を軸に26年10月までに必要な経費を計上する予定。同年11月以降の本格的な準備、開催経費は改めて予算要求を行う見込みだという。同室の担当者は「『市民参加型』が一番の特徴。引き続き、現代アートのみならず、音楽や演劇など多種多様なプログラムを展開し、これまで以上に参加してもらえるよう、市民プロジェクトをさらに充実させていきたい」と力を込めた。

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