埼玉新聞

 

物価高対策「まず動いて」 新首相に高市氏、初の女性 埼玉県民から期待と不安の声

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    埼玉県民から期待と不安の声

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 日本のかじ取りが女性に託された。21日、誕生した高市早苗首相(64)。公明に代わり、日本維新の会を連立パートナーとした新たな船出は、物価高対策など待ったなしの課題が目の前に迫る。県民の間では、歓迎や期待の一方で、指導力に不安の声も。憲政史上初の女性宰相は、未来に希望が持てる政治を実現できるか。

 さいたま市南区で飲食店を経営する佐藤知子さん(58)は、高市総理について「党総裁就任時の言葉から、仕事に懸ける思いが伝わってきた。介護を経験し、仕事と家庭の両立もされている。男性にない視点を持っているのかなと感じる」と歓迎する。今後注目するのは物価高対策で、「仕入れ値が上がっているが、すぐに値上げはできず、自分の仕事量を増やして人件費で調整している」と打ち明けた。

 皆野町で金属加工会社の社長を務める堀口喜久さん(73)は、「少数与党が続いて、大変なことに変わりはないだろう。でも、まずは動き出してもらいたい」と政治空白の解消を求める。物価高は原材料費も例外ではなく、価格上昇が始まる前の倍以上になっているものもあるという。高市首相は強い経済の構築を掲げるが、町商工会の副会長でもある堀口さんは「早くかじを切って、経済政策を決めてほしい。小さい町工場にとって、物価高の影響は大きいので」と注文する。

 初の女性首相誕生について、堀口さんは「女性ではない方が良かったかも。高市さんは胸を張って発言している感じがしない」と、依然として男性中心の政界での指導力を不安視。日本維新の会と自民による連立政権樹立に対しては、「大阪の有権者は戸惑っているのではないか」と政治の安定に疑問を示した。

 鶴ケ島市の自民の70代関係者男性は「高市さんはぶれない人だ。党内の意見はさまざまだが、トップに立つのだから自分の考え方を出してほしい」と期待を寄せる。一方で維新との連立政権には「やってみないと分からない」。公明の連立離脱にも触れ「自らの判断。やむを得ない」と話した。

 自公連立政権で協力関係を築いてきた公明関係者は高市氏の首相指名を淡々と受け止めた。昨年の衆院選小選挙区で前公明代表の石井啓一氏が敗れた埼玉14区(草加、八潮、三郷市)で、同党支援者は「連立を離脱したところで、距離ができている。特に話すことはない」と高市氏の首相指名を冷静に受け止めた。今後の選挙協力については「まだ何も決まっていない。今後刻々と事態が変化する中で、方向性が定まるのではないか」とした。

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