済生会川口乳児院、存続へCFで建て替え「安心ある日々のため」
川口市にある済生会川口乳児院が老朽化による建て替え費用に充てるため、広く資金を募る「クラウドファンディング(CF)」に取り組んでいる。担当者は「乳児院での療育を必要とする子どもや家庭のため、ひいては地域のために存続させることは私たちの使命」としており、「一人でも多くの人に施設を知ってもらいたい」との願いと同時に、子どもたちのための支援を呼びかけている。
川口乳児院は1979年、川口総合病院の隣接地に開院した。開院以来、県内児童相談所の措置の下、家庭での養育が難しい状況にある子どもたちが入所している。定員は30人。一時保護機能も有し、現在は0~6歳までの児童が入所し、入所待機の児童もいるという。
県内に八つある乳児院のうち、唯一の病院併設型乳児院。病気や障害を持つ子どもたちが多く、24時間365日の基本的な養育に加え、医師・看護師をはじめ専門職スタッフのチーム体制により、子どもたちの育ちを支えている。
設立から46年が経過し、施設の老朽化が深刻となったため、建て替えを決断。工事費用は国や県の補助金では賄えず、また、昨今の資材高騰により建設費用は当初の7億円から10億円へ膨らむなど、極めて厳しい状況にあるという。八木橋克美施設長は「子どもたちが安心して安全に、これからの人生をつくる大切な時期を過ごすことができるよう、どうか皆さまのお力添えを」と声を絞り出す。
恩賜財団済生会は明治天皇により1911(明治44)年に設立された。済生会の乳児院は23(大正12)年に発生した関東大震災で被災した妊産婦と乳幼児の救済施設として開院した「恩賜財団済生会臨時赤羽乳児院」に始まる。始めたのは当時の同会医務主管、北里柴三郎だった。
八木橋施設長は、そうしたルーツを持つ済生会にとって、療育を必要とする子どもや家庭、そして地域のために乳児院の存続は「使命であり責任」であるという。
現在の川口乳児院の建物は6階建てで、うち1階と地下1階を乳児院施設として使用している。2階から上は看護学校があったが現在は移転。建具の破損や給排水、電気設備の故障、外壁の剥がれ、雨漏りなどを修繕しながら何とか運営している状態という。
「泣いた時に抱き締めてくれる人がいて、安心して眠れる環境がある。そんな当たり前の安心がある日々を過ごせるようにしたい」と八木橋施設長。「今回の取り組みが、子どもたちのこの先の人生で『これだけ多くの皆さんに支えられ、これだけ多くの皆さんに愛された』と思ってもらえるものであれば」と話している。
寄付の申し込みはCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」から。インターネット以外での申し込みも受け付けている。問い合わせは、済生会川口乳児院(電話048・256・8500、メールsaikawa.nyujiin2@gmail.com)へ。










