埼玉新聞

 

被害額は7億8千万を超える…件数、被害額とも過去最多 今年1~6月末、埼玉県警まとめ ネットバンクの不正送金 年間では昨年の4倍ペース

  • 【警察】埼玉県警察本部=埼玉県さいたま市浦和区高砂

    県警本部=さいたま市浦和区高砂

  • 【警察】埼玉県警察本部=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 県警が今年1~6月末までに認知した金融機関などを装ったフィッシングによるインターネットバンキングの不正送金の被害件数は前年同期比560件増の677件、被害額は同比6億2883万円増の7億8240万円で、件数と被害額ともに過去最多となったことが県警のまとめで分かった。年間では昨年の4倍のペースで、県警は利用者に強く注意喚起している。

 フィッシングは、犯罪グループが実在する企業や金融機関をかたりメールやショートメッセージサービス(SMS)を送信し、受信者を偽サイトへ誘導してクレジットカードや銀行口座にひも付けられたIDやパスワードを入力させて不正に個人情報を入手するサイバー犯罪。中でも、インターネットバンキングに関連したものでは、「個人情報の再確認」「不正アクセスの可能性」などと記載されたメールを送信して、利用者の不安感をあおるケースが多い。

 県警サイバー対策課によると、2024年1年間の県内の被害認知は346件(約5億8千万円)で、過去最多となった23年の360件(6億6千万円)を下回った。しかし、今年は6月末時点で前年同期の約5・8倍と急増した。年当初は特定の金融機関が狙われていたが、対策が講じられると次々と標的が変わっていったという。

 フィッシング対策協議会によると、今年1~7月に同会に寄せられたフィッシングの報告件数は、前年同期比約61万2千件増の142万3千件で、前年を上回るペースだという。うち、ネットショッピングなどECサイトとクレジットカードに関連する被害が約半数を占めている。一方で、昨年末からは証券口座のアカウントを詐取して不正ログインし、株式を売買する手口も急増。報告件数全体の約16%を占めた。

 県警などはインターネット利用者に対して、不安をあおるようなメールなどが届いても冷静に対応することが大切とした上で、メールのリンクにアクセスしない▽公式アプリの使用▽公式サイトをブックマーク登録する―などの対策を呼びかけている。

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 県警が今年1~6月末までに受理したサイバー犯罪に関する相談件数は4752件で、前年より641件減少した。内訳はネットバンキングやショッピングサイトなどへの「不正アクセス」が1569件で最多。そのうち、ネットバンキングは前年同期から495件増の622件で40%を占めた。次いでネットショッピングサイトで購入した商品が届かないなどの「詐欺・悪質商法」が1306件、クレジットカードの情報を不正に使われた「クレジットカード犯罪」が1007件と続いた。

 検挙件数は前年同期から79件増加し347件、検挙者数は21人増の206人で、10~20代の若年層だけで全体の5割近くに上った。

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