東京スカイツリーが丸々収まる…国内最長の15番線有する貨物ターミナルで見学会 モーダルシフト促進へ 埼玉・越谷 労働力不足の解消、道路の混雑緩和など社会課題の解決策としても 貨物列車は最大650トンの輸送が可能
政府が2050年までに温室効果ガスを実質ゼロとする目標を掲げる中、物流の人手不足解消とカーボンニュートラルの実現に向けたモーダルシフト促進のための県内企業向け貨物ターミナル見学会(JR貨物主催)が9日、越谷市南越谷の越谷貨物ターミナル駅で開催され、企業などから約60人が参加した。
モーダルシフトとは、トラックなどの自動車による貨物輸送を、鉄道や船舶といった大量輸送が可能で環境負荷も小さい輸送手段に転換することを指す。国土交通省の資料によると、1トンの貨物を1キロ運ぶ際に排出される二酸化炭素(CO2)量の比較で、トラックに対して鉄道は約11分の1、船舶は約5分の1。労働力不足の解消や働き方改革、道路の混雑緩和など社会課題の解決策として推進されている。
参加者は越谷市南越谷のサンシティホールで基礎知識を学んだ後、バスで越谷貨物ターミナル駅に移動。国内の鉄道輸送を主体として運用される独自規格の12フィートコンテナや冷蔵・保冷機能を備えたコンテナ、フォークリフトで列車に積み下ろしする様子などを見学した。
越谷貨物ターミナル駅は1973年4月の武蔵野線開通時に開業した貨物専用駅。敷地面積は約16万5千平方メートル。約653メートルの15番線は国内最長で、東京スカイツリーが丸々収まる。貨物列車は最大650トン(10トントラック65台分)の輸送が可能で、24年の貨物輸送状況は発送約35万トン、到着約45万トンだった。
JR貨物関東支社営業部の渋谷潤一副部長は「足元の荷動きとしては清涼飲料水、食料工業品が堅調に推移している。物流の2024年問題を契機とした貨物鉄道輸送への期待をビジネスチャンスと捉え、埼玉から全国を元気にする」と意気込みを語る。
県を含む物流事業者、消費者団体などの23団体は昨年9月、物流の人手不足問題を克服し、物流の円滑化と人材の確保・定着を図る「埼玉の持続可能な物流の確保に向けた共同宣言」を発表。取り組み事項の一つに「モーダルシフト等の推進」を挙げている。










