空き家狙った侵入窃盗が過去最多 上半期、埼玉県内で 高齢化背景、対策が急務 埼玉県の空き家数はさいたまが最多の2万戸、次いで川越、熊谷、越谷 「被害届を出さない被害者も。実数はもっと多いのでは」
県内で空き家を狙った侵入窃盗が急増している。今年1~6月の県警の認知件数は793件で、前年同期の470件から約1・7倍増加。統計を取り始めた2020年以降で過去最多となったことが県警への取材で分かった。高齢化に伴う空き家の増加が背景にあり、県警は視覚や聴覚に訴える対策が有効とし、「環境整備を定期的に行い、管理が行き届いているように見せることが大切」と呼びかける。
県警によると、犯人側からすると誰も住んでいない空き家は犯行のリスクが小さい。庭など敷地内の草木が伸びている▽ポストに郵便物がたまっている▽インターホンが通電していない―などの外見上の特徴を見極めて、掃き出し窓を工具などで破壊して侵入しているケースが多い。
県警幹部は、空き家が親から相続したままで放置状態になっていることも多いとし、「処罰感情が低いため被害届を出さない被害者もいる。実数はもっと多いのではないか」と指摘する。
総務省が23年に行った「住宅・土地統計調査」によると、県内の空き家は全住宅約356万戸のうち、9・3%に当たる約33万戸に上る。空き家率は18年に行った前回調査より0・9ポイント低下した。しかし、そのうち賃貸や売却用などを除いた「利用目的のない空き家」は約13・6万戸(3・8%)で、全国で8番目に多く、前回調査より約1・2万戸(0・1ポイント)増加した。
利用目的のない空き家数は、さいたま市(約2万100戸)が最も多く、川越市(約8800戸)、熊谷市(7500戸)、越谷市(5500戸)と続き、おおむね県南北部に多い。各市町村は空き家の相談窓口などを開設し、対策支援を行っている。
一方で、県警が今年1~6月に認知した空き巣や忍び込みなどの住宅対象の侵入窃盗事件の件数は、前年同期から175件増加し959件。過去5年間で最多で、全国の都道府県と比較しても最多だった。内訳は空き巣が634件(同比41件増)、忍び込みが305件(同比128件増)、居空きが20件(同比6件増)。
県警は住宅や空き家への侵入窃盗対策として、歩くと音が出る防犯砂利や人感センサーライト、防犯カメラなどの視覚や聴覚などに訴える対策を呼びかけている。その上で、「施錠、掃き出し窓のシャッターや雨戸を閉めることなどが一番効果的。基本的な対策を徹底してほしい」と訴えた。










