埼玉新聞

 

橋から飛び込もうと…午前0時、街灯ない橋の上に男性 幼なじみの3人組が発見、無言の男性に粘り強く言葉かけ通報 警官到着まで動静見守る 3人が一緒じゃなかったら…勇気ある行動に称賛

  • 佐藤忍署長から感謝状を受け取った、(左から)高橋恵斗さん、久保葵さん、山口阿祐武さん

    佐藤忍署長から感謝状を受け取った、(左から)高橋恵斗さん、久保葵さん、山口阿祐武さん=10日午後、小鹿野署

  • 佐藤忍署長から感謝状を受け取った、(左から)高橋恵斗さん、久保葵さん、山口阿祐武さん

 人命救助に貢献したとして、埼玉県警小鹿野署は10日、秩父市の会社員、久保葵さん(23)、山口阿祐武(あゆむ)さん(22)、高橋恵斗さん(22)の3人に感謝状を贈った。幼稚園時代からの幼なじみトリオの勇気ある行動が、一人の若者の命を救った。

 3人は8月20日午前0時ごろ、乗用車1台で同市太田地内の奈良川橋を走行中、橋上の縁石に座り込んでいる20代男性を発見。状況を不気味に感じた3人は、車を停車させて男性に駆け寄り、声をかけた。男性はその場にとどまり続けていたことから、同署へ通報し、警察官が到着するまで動静を監視した。男性は後に、「橋の上から飛び込もうと思っていた」と同署員に説明している。

 3人はこの日、遊び帰りの途中だった。「街灯がない真っ暗な橋の上に人がいるのはおかしい」。3人は迷わず話しかけたが、男性は無言のまま手を上げ、「大丈夫」と合図しただけだった。3人はその後も男性の様子をうかがいながら、粘り強く言葉をかけ、約20分後に警察に通報した。

 山口さんは「声がけはすごく緊張した。下手に刺激を与えてはいけないので、言葉選びが難しかった」と振り返る。小学5年生の時に交通事故を経験している久保さんは「このまま放っておいたら、交通事故に巻き込まれる可能性もある」と考え、引き下がるつもりはなかったという。

 3人は秩父市立吉田小、吉田中、県立秩父農工科学高校を卒業。現在の職場は別々だが、絆の強さは変わらない。高橋さんは「互いのことを知り尽くしている3人が一緒じゃなかったら、素通りしてしまったかも知れない。今後、1人で同じような場面に遭遇しても、声かけをしたい」と話していた。

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