埼玉新聞

 

仕事中に火災を発見した会社員 2階のベランダにはうずくまる女性 車庫の屋根によじ登り救助 建物は全焼も女性にけがはなく 「唯一無二の命を救った功労に深く感謝と敬意」

  • 村田宏明市消防長から感謝状を受けた太田和男さん(右)=8日午後、川口市消防局東消防署

    村田宏明市消防長から感謝状を受けた太田和男さん(右)=8日午後、川口市消防局東消防署

  • 村田宏明市消防長から感謝状を受けた太田和男さん(右)=8日午後、川口市消防局東消防署

 火災発生中の建物から女性を救助したとして、川口市消防局は8日、同市榛松の板金加工会社「高橋製作所」社員の太田和男さん(65)に感謝状を贈った。

 同局によると太田さんは仕事中だった7月19日午前11時25分ごろ、同市榛松の2階建て住宅から白い煙が出ているのを発見。建物2階ベランダで40代女性がうずくまっている姿を確認したことから、建物に隣接する車庫の屋根によじ登り、女性を救助した。

 車庫の屋根から太田さんが女性に声をかけた際、恐怖のためか返事はなく、火の手は熱とともに、室内から外へと向かって広がり始めていたという。「考えていたら、自分も動けなかったと思う」と太田さん。すぐさまベランダにあった箱状の荷物に載って手すりを越えるよう声をかけ、女性を支え室外へと導いた。同局によるとその後、建物は全焼。女性にけがはなかった。

 感謝状を手渡した村田宏明市消防長は「迅速かつ勇敢な行動により、唯一無二の命を救った功労に深く感謝と敬意を表します」とたたえた。太田さんは「昔は木や塀に登ったりしており、身軽かもしれない。自分ならできるかな、と思っただけ。助けなければならない時に助けただけ」とてらうことなく振り返った。

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